最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
妊娠中は、徐々にかわっていく心や身体の変化とともに、おなか以外の様々な症状に悩まされます。妊娠中に産婦人科以外の科を受診していいのかと不安に思われる時もあると思います。今回は産婦人科医師の立場から、「この症状はこの科が専門科!」についてまとめました。
妊娠中の皮膚症状は皮膚科に受診を
妊娠による変化により、普段皮膚症状のない方でもかゆみや蕁麻疹などに悩まされることも少なくありません。このような妊娠に関連した皮膚疾患以外にも、妊婦さんが他の皮膚疾患にかかる場合や、アトピー性皮膚炎などもともとの持病が妊娠をきっかけに悪化する場合などもあります。一般的に産院でも、保湿剤や塗り薬を処方可能な場合もありますが、改善のない場合や治療が難しい場合は、皮膚科への受診をお勧めします。
妊娠中の花粉症は耳鼻咽喉科や眼科が受診可能です
毎年花粉症に悩まされている方は、妊娠中は薬による治療ができないのではないかと、つらい症状を我慢されている場合も少なくありません。症状の重い花粉症は内服薬や点鼻薬・点眼薬などによる治療が可能です。耳鼻咽喉科や眼科などへの受診が勧められます。
花粉症以外にも、耳の症状(痛い、かゆい、耳だれ、ふさがった感じ、きこえづらい、耳鳴りなど)、鼻の症状(鼻がつまる、鼻水、鼻血など、頬や眉間が痛い症状など)、のどの症状(のどが痛い、声がかすれる、咳や痰など)も耳鼻咽喉科へ受診をお勧めします。妊娠が症状に影響している場合もあれば、そうでない場合もあります。
妊娠中の関節の症状は対症療法の場合が多いですが、改善なければ整形外科への受診を勧めます
妊娠中は、手足のこわばりやしびれ、肩こりや腰痛などに悩まされる方は少なくありません。これらの症状は妊娠に伴う身体の浮腫みや、おなかが大きくなることによって骨盤が開いてきたり、姿勢が変化したり、足への血流が悪くなることなどによって出ていると考えられます。
一般的には鎮痛薬や湿布などの使用に制限があるため、温める・ストレッチ・着圧ソックスや骨盤ベルトの着用などの対症療法をまず行います。ただしそれでも改善されない場合や、麻痺がでてくるなど悪くなる場合などは整形外科への受診を勧めます。
妊娠中の不調は、妊娠そのものが原因とはかぎらず、妊娠とは関係なく一般の成人もかかる病気がかくれている場合も少なくありません。症状が続く場合は、それぞれの症状の専門科に診察してもらうことが時として重要となります。
ただ妊娠中はできる検査や使える薬などに制限がある場合も多いので、受診の際は妊娠していることを必ず伝えることが必要です。
また、他の科に受診して治療をうけた場合は、その旨をかかりつけ産院にもご報告されると安心でしょう。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 青栁百合)