最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
よくいただくご相談のひとつに、夜間の授乳に関するものがあります。「うちの子は夜通し寝るけれど、起こして授乳した方がいいですか?」「夜通し寝ると夏は脱水が心配で…」と悩んだことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、夜間授乳についてお答えします。
基本的には、寝ている赤ちゃんを起こして授乳しなくてもOKです
授乳の間隔やタイミングは個人差がとても大きく、月齢によっても異なります。生まれて間もない新生児は胃の容量が小さいので1日10回以上授乳することもありますが、次第に胃の容量が大きくなり授乳ペースが確立してくると、1日5~6回くらいで済むようになることもあります。そうなってくると、夜間も基本的には赤ちゃんを起こしてまで授乳しなくてOKです。赤ちゃんが母乳やミルクを欲しがったタイミングで与えていただければ大丈夫ですよ。
寝ている赤ちゃんを起こして授乳した方がいいのは、飲む量が足りていない時や乳腺炎が心配な時です
ただ、いくつかのケースでは、寝ている赤ちゃんを起こして授乳した方がいいことがあります。
飲む量が足りていない場合
早産で生まれた赤ちゃんや小さく生まれた赤ちゃんの場合、または体重の増えが緩やかな場合には、授乳の間隔があきすぎてしまうと、必要量の母乳やミルクが飲めなくなってしまうことがあります。出産施設で退院後もフォローアップされている場合には、そちらのアドバイスに沿って授乳間隔を調整いただくといいでしょう。体重の増え方が心配な時は、産婦人科・小児科オンラインで個別にアドバイスさせていただきますので、ぜひご相談ください。
体重増加の目安については、こちらの記事も参考になさってください。
赤ちゃんの体重。どれくらい増えていれば安心?(生後すぐ〜6ヶ月くらいのお子さん向け)
外出できない時に!自宅で赤ちゃんの体重を確認する方法
乳腺炎が心配な場合
おっぱいが張って痛みや赤み、しこりがある、38.5度以上の発熱があるといった場合には、乳腺炎が心配です。夜間に赤ちゃんが眠っている場合には自分で搾乳して解消する方法もありますが、搾乳が難しい時には、赤ちゃんを起こして授乳するのも一案です。
乳腺炎については、こちらの記事も参考になさってください。
助産師が伝えたい、乳腺炎の症状と対処法について
暑い時期で脱水が心配なら、室温や掛け物で調整しましょう
暑い時期には脱水が心配、というお声をよく耳にします。赤ちゃんは大人より平熱が高く代謝がいいので、よく汗をかきますね。もし暑い時期に夜間の脱水が心配な場合には、まず室温や湿度、掛け物を見直すことをお勧めします。
室温・湿度
大人が心地よいくらいの服装・温度設定でOKです。目安としては、
・室温:夏季はエアコン使用時の室温が28℃位になるよう設定(冬期は20~25℃)
・湿度:50%前後
と言われています。ただ、体温調節については個人差がありますし、冷暖房の性能や住宅の構造、お住まいの地域によっても適度な環境調整の程度が異なります。あくまで目安として参考になさってくださいね。
また、エアコンなどの風が直接赤ちゃんに当たらないようにするのも大切です。
掛け物
薄手のタオルケットやバスタオル、掛け布団など、厚すぎなければ何でもOKです。もし赤ちゃんが足で掛け物を蹴飛ばしてしまうような時は、薄手のスリーパーを使ったり、足にかからないようお腹のあたりにだけ掛け物をするのもいいですね。
暑い時期の赤ちゃんのホームケアについては、よろしければこちらも参考になさってください。
子どもの塩分摂取量〜真夏は水分補給と一緒に塩分補充が必要?〜
子どものあせも対策はこの3つ!
いかがでしたか?
夜間の授乳は、飲む量が足りていない時や乳腺炎が心配な時を除いて、基本的には赤ちゃんを起こしてまで行う必要はありません。暑い時期で脱水が心配な時は、室温・湿度や掛け物で調整しましょう。
<参考文献>
東京都福祉保健局「健康・快適居住環境の指針(平成28年度改訂版)」
環境省環境保健部環境安全課 熱中症環境保健マニュアル2022
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 中村早希)