更年期障害を乗り越えよう!〜HRT(ホルモン補充療法)とは?〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

イライラや不眠など様々な症状が現れる更年期障害。その代表的な治療であるHRT(ホルモン補充療法)について、改善が期待できる症状はどんなものがあるか、補充の方法、予想される副作用や使用する際の注意点について解説します。

改善が期待できる代表的な症状は、ホットフラッシュ、骨密度低下、性交痛

更年期症状の代表的なものに、ホットフラッシュ、骨密度低下に伴う骨粗鬆症、性交痛があります。HRT(ホルモン補充療法)は、それらを改善する有用性が極めて高いとされています。他にも抑うつ症状、脂質異常の改善や皮膚のコラーゲン量を増やしたり、皮膚のきめ細やかさの改善効果もあります。さらにはアルツハイマー病、動脈硬化の予防や食道癌、胃癌、大腸癌の発生リスクを下げる効果もあると言われています。

HRTの方法は自分に合った方法を選びましょう 〜飲み薬、貼り薬、塗布薬、腟錠があります〜

HRTで補充するホルモンには、エストロゲンとプロゲステロンがあります。更年期症状の改善のためにはエストロゲンだけ補充すれば良いのですが、子宮のある女性にエストロゲンだけ補充すると子宮体癌になるリスクが高くなるので、その予防のためにプロゲステロンを投与する必要があるのです。子宮筋腫などで子宮を摘出した人は、エストロゲンだけの補充で問題ありません。

ホルモンを補充する方法で最も簡便なものは、貼り薬です。2日に1回、または週2回(3〜4日に1回)張り替えるというタイプが手軽に使用できます。皮膚が弱くかぶれやすいという人は、一部を飲み薬や塗り薬に変更して使っていきます。
外陰部や腟の症状(性交痛など)にお困りの場合は、腟錠を使用することもあります。

主な副作用は、不正性器出血、乳房痛、頭痛

HRTを行う際、比較的頻度の高い副作用は不正性器出血、乳房痛、頭痛です。程度に応じて投与方法や投与量を調整したり、鎮痛薬などの対症療法を行なうことで改善が期待できます。

また、5〜7年という長期に渡りHRTを行う際には、乳がんの発症リスクが高くなると言われています。その一方で、アルコール摂取、肥満、喫煙などによるリスク上昇と変わらないとも言われています。
ただ、有害事象との関連から、肝臓の病気がある人、乳癌・静脈血栓塞栓症・心筋梗塞になっている(なったことがある)人、原因不明の性器出血がある人などは、HRTが行えません。
自分はHRTが受けられるかどうか、また、治療中の症状がつらいときなどは、医師に相談しましょう。

様々な効果が期待できるHRTですが、自分は治療が受けられるか、また治療中には体の状態のチェックなどが必要になります。メリット、デメリットを理解した上で、更年期をうまく乗り切りましょう。更年期障害のもう1つの治療である漢方薬についても解説記事がありますので、よろしければ参考にしてください。


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

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(産婦人科医 櫻井 学

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