最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
妊婦さんは飛行機に乗っても大丈夫なのでしょうか?妊娠中はいつなら乗れるのか、いつまで乗れるのか、心配ですよね。出張や引越しなど、何らかの事情で妊娠中に飛行機に乗らざるを得ないこともあるかもしれません。
一方で、一番の気がかりはお腹の赤ちゃんのこと。妊婦さんが国内線・国際線の飛行機に乗るときの注意点について、大手航空会社の案内を参考にまとめました。
航空会社や国土交通省の案内について(国内線・国際線)
いずれの航空会社も諸規則はあるものの、妊婦さんの搭乗は可能です。ただし、以下の妊婦さんは事前の手続きが必要になります。詳しくは各航空会社に確認してください。
●出産予定日が4週間以内(妊娠36週以降)に入っている場合
●出産予定日が7日以内の場合は医師の同伴が必要
●予定日がはっきりしない場合
●双子以上の妊娠をしている人
●早産の経験がある人
また、国土交通省では、空港で金属探知機やボディスキャナーによる検査が行われていますが、X線等の放射線を照射するものではありません。したがって、これらの検査による母児に障害を与える可能性はないと考えられています。
妊婦さんがいつまで乗って良いかの明確な決まりはありません
妊婦さんの飛行機への搭乗は「いつから」「いつまで」と明確な決まりがあるわけではありません。ANAとJALの規定によると、妊娠後期での搭乗は医師による診断書や医師同伴が必要です。具体的には、出産予定日が4週間以内(妊娠36週以降)に入っている場合は、航空会社へ医師による診断書の提出が必要です。国内線は出産予定日が7日以内、国際線は出産予定日が14日以内の場合、診断書の提出および医師の同伴が必要です。
比較的安全に妊婦さんが飛行機に乗れる時期は、一般的には妊娠12~28週まで(4~8ヶ月まで)といわれています。しかし、一般論として大丈夫かどうかよりも、ご自身の体調ときちんと相談することが大切です。
妊婦さんの飛行機搭乗時の5つのポイント
妊婦さんでも飛行機の搭乗は可能ですが、搭乗する上で気をつけたいポイントをまとめてみました。
①ストレッチ
狭い座席に長時間座っていて足を動かさないと、血行不良が起こり、血液が固まりやすくなります。その結果、血の固まり(血栓)が血管の中を流れ、肺に詰まってしまう肺塞栓などを誘発する恐れがあります。長時間のフライトになる場合は、安定飛行中に歩いたりストレッチをしましょう。
②水分摂取
こまめに十分な量の水分を摂りましょう。お腹が大きくなると、子宮が膀胱を圧迫することでトイレの頻度が多くなるので、トイレに近い通路側の座席を選ぶとよいでしょう。
③シートベルト
ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めないようにしましょう。子宮を圧迫しないようにブランケット等の上から締めるとよいでしょう。
④マタニティマークタグやサービス
マタニティマークタグをつけておくと、乗務員の方がいろいろと手伝ってくれます。マタニティマークタグ以外にも、妊婦さん向けに空港内の電動カートサービスや、優先搭乗サービスなど各種サポートがあります。身体への負担を少しでも減らすためにも積極的に活用したいですね。詳しくは各航空会社に確認してください。
⑤携帯品
妊娠時期を問わず母子手帳や健康保険証は機内まで携帯してください。かかりつけの産科医や家族の連絡先も携帯しておくと、万一のときに安心です。
妊婦さんでも時期に応じて飛行機の搭乗は可能です。しかし、妊婦さんは自分が思っている以上に身体に負担がかかります。無理はせず、できるだけ近場のフライトにとどめるようにしたいですね。不安に思うことがあれば、かかりつけの産科医に相談し、心にも余裕を持ってフライトの計画を立てるようにしましょう。
*参考文献*
・国土交通省 ご妊娠中のお客様の保安検査について
・厚生労働省 エコノミークラス症候群の予防のために
・ANA 妊娠中のお客様(国際線)
・ANA 妊娠娠中のお客様(国内線)
・JAL 妊娠中のお客様
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 恩田瑛里佳)