授乳中のトラブルに漢方という選択肢〜乳腺炎や風邪症状、冷えや気分の落ち込み〜

最終更新日： 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

授乳中にお薬を飲むときは、赤ちゃんに悪影響が無いか心配になりますね。実は、授乳中でも安全に飲める薬はたくさんあります。その中で今回は漢方について紹介します。

乳腺炎や風邪には葛根湯

葛根湯(カッコントウ)は、乳腺炎、肩こり、授乳中の風邪のひきはじめに使える漢方です。
葛根湯は、頭痛、発熱、乳腺炎に対して飲むことで、汗がでるのをうながし、症状が早くなおるのを促進すると言われています。

乳腺炎では、母乳のつまりを改善しやすくなると言われていますが、まだ論文や研究では証明されていません。
使ってみて数日しても症状が改善しないようなら産婦人科、助産院へ相談するようにしてください。

手足のむくみには、妊娠中でも内服できる柴苓湯(サイレイトウ)がよく使用されます。柴苓湯は、体のなかの余分な水分を尿として出す効果があります。

手足の冷えには、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)を使うことがあります。

産後は女性ホルモンが急激に変動するため、気分が落ち込んだり情緒不安定になりやすい時期です。

授乳中に強まる不安感では加味逍遥散(カミショウヨウサン)・半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)、抑えられないイライラには抑肝散(ヨクカンサン)・抑肝散加陳皮半夏（ヨクカンサンカチンピハンゲ）で有効性が報告されています。

授乳中でも安心して使用できる漢方はたくさんあります。一方で、お薬と同じく相性や副作用への注意は必要です。産後の症状で困っているときは、産婦人科医または助産師にご相談ください。

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師、助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

（医師　柴田綾子）

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