助産師が伝えたい性と命のおはなし~性教育っていつ頃から始めたらいいの?~

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

「結婚するとどうして赤ちゃんができるの?」と子どもに突然聞かれてドキっとした経験はありませんか?子どもへの性教育はいつから、どんなことから始めたら良いのでしょうか。

包括的性教育とは自分が自分らしく生きていくために必要な教育です

世界的に推進されている”包括的性教育”では、幼児期から継続的に性教育をしていくことが重要視されています。科学的根拠に基づき、大きく分けて以下8つのことを主に学んでいきます。

・人間関係
・人権
・ジェンダー(社会的性別)
・暴力、安全
・健康の幸福のためのスキル
・身体の発達
・性行動
・生殖に関する健康

年齢や成長に合わせ、内容も進展し、性行動や妊娠に関することなども徐々に情報を積み上げて学んでいくものですが、寝た子を起こすのでは?と心配になる大人も多いと思います。

しかし、実際には継続的に学ぶことで、意図しない妊娠や性感染症の予防手段を理解することにつながります。これによって、性行動へ慎重になることが大規模な研究でわかっています。

また、学習内容には対人関係やコミュニケーション、意思決定など、ライフスキルに直結する学習内容も含みます。まさに包括的性教育は、自分が自分らしく生きていくために誰しもが必要な教育といえます。

性教育は生まれたときからあらゆる場面で始めることができます

ユネスコなどの世界の公益機関が作成した、国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、5~8歳を最初の学習対象年齢としています。日本でいうと、幼稚園や小学校での教育から関連してきます。しかし、実際には教育機関で与えられる教育よりも、もっと前に子どもは自ら性意識が芽生えていくことが多いです。

例えば、乳児期は性器を触ることで自分の性器のかたちや快・不快の感覚の違いを覚えていきます。無理にやめさせるのではなく、とても大切なプライベートゾーンであることを教えてあげましょう。

また、3歳頃から始まるなぜなぜ期(質問期)では、「なんで○○なの?」と、数多くのことを自ら意欲的に学んでいこうとします。その期間は家庭でも性教育を始めることができる大チャンスです。「なんでママにはおちんちんがないの?」「(月経中に)なんでママ血がでてるの?」など、とてもピュアな質問をしてきます。そんな子どもの日常行動や何気ない質問を大人がキャッチし、意識的に答えてあげたり、一緒に考えてあげるようにすると、子どもは自分のからだのことをポジティブに理解できるようになっていきます。

絵本を活用しましょう

性教育をするための大切なツールは絵本です。とくに乳幼児期~小学校低学年頃は子どもの性に関する知識や語彙力を養っていくだけでなく、絵本の読み聞かせそのものが親子のコミュニケーションにもつながります。
からだのこと、性暴力、友情、セクシャルマイノリティなど、包括的性教育に関連したテーマを題材にした絵本はたくさんありますので、ぜひ積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

絵本の読み聞かせについては、こちらも参考にしてください。

性教育は自分が自分らしく生きていく上で必要な教育であり、幼少期からご家庭でもはじめることができます。
大切なことは日々の積み重ねと継続です。教育機関での性教育に加え、性に関する理解を各ご家庭でも深めていくこと、この2つを両輪で進めていくことをおすすめします。性教育は気軽にご家庭でも実践できるものであってほしいなと思います。

*参考文献*
国際セクシュアリティ教育ガイダンス
・あっ、そうなんだ!生と性 幼児・小学生そしておとなへ 浅井春夫 株式会社エイデル研究所

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 齊藤麻木

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