「性器ヘルペスについての正しい知識」〜妊娠していない方向け〜

ストレスや寝不足で、口や唇のまわりに水ぶくれや発疹がでたことはありますか? ヘルペスはありふれたウイルスで、口の周りにできる口唇ヘルペスは有名ですが、性器にできた場合には時に強い症状がでるため怖い病気と思われがちです。正しく知り、しっかりと対処することが重要です。ここでは性器ヘルペスの正しい知識と治療法についてご紹介します。

性器ヘルペスってどんな病気?

性器ヘルペスは「ヘルペスウイルス」というウイルスが感染し小さな水ぶくれや赤いポツポツ、潰瘍などを作る感染症です。感染部位は口唇と性器が代表的で、その他、胸や肛門などにも病変を作る場合があります。
感染はヘルペスの症状が出ている部分との接触により起こります。最近は特に、口唇にヘルペスの症状がある場合にオーラルセックスをすることで、相手の性器に感染する事例が増えています。

性器ヘルペスがある場合に性交渉を避けることに加え、口唇ヘルペスを発症しているときは、オーラルセックスを避けることが重要です。

性器ヘルペスの症状:初めて感染するととにかく痛い! 症状は軽いが再発することも

初めて感染した場合は痛みが強いのが特徴です。始めは表面にヒリヒリ感やむずかゆさなどを感じます。その後、2〜10日ほどで外陰部や子宮頸部に強い痛みを伴いながら1〜2mmの水ぶくれや赤いポツポツがたくさん出現し、水ぶくれが破れると潰瘍(ただれたようなもの)ができます。
強い痛みで排尿や歩くことが困難となり入院が必要となることがあります。その他発熱や全身の倦怠感、太もものリンパ節の腫れや痛みを伴うこともあります。

また、8割以上の人が1年以内に再発すると言われており、過労・ストレス・セックスなどの刺激で再発し、性器から太ももに水疱や潰瘍ができます。ただ、症状は軽いことが多く、治るまでの期間も短くなります。

性器ヘルペスの検査と治療:積極的な治療により病変をコントロールできます

性器ヘルペスの検査は、病変を綿棒でこすることにより行い15分程度で結果がでます(プライムチェックHSV®)。
治療は、単純ヘルペスに対する抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなど)による薬物治療が中心です。内服薬または塗り薬が中心で、症状が強い場合には注射薬の治療が行われます。

治療を行なっても、感染したウイルスの一部は神経に潜伏するため完全に排除させることはできません。再発を繰り返す時は、ウイルスの増殖を抑える内服治療を行う場合があります。何度も繰り返す症状でお悩みの場合には医師にご相談し、積極的に病変を抑えていきましょう。

なお、妊娠中の方はこちらの記事をご覧ください。
「性器ヘルペスについての正しい知識」 〜妊娠している方向け〜

*参考文献
・日本感染症会誌 性器ヘルペス 2008:19(1) 62-66.


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(医師 植田 彰彦

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