妊婦は要注意!古くて新しい病気、梅毒を知っていますか?

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

みなさんも梅毒という病気の名前は聞いたことがあると思います。日本でも、若い世代の間で患者数は増えてきているといわれています。それではどんな病気かと言われると、なかなか思い浮かばないかもしれません。
この記事では、梅毒がどのような病気なのか、そしてなぜ妊娠と関係するのかについて述べたいと思います。

梅毒は主に性行為で感染しますが、妊娠中の母から子への母子感染もあります

梅毒は「梅毒スピロヘータ」といわれる細菌による感染症です。日本においても、江戸時代には遊女の間で流行したことが知られています(漫画やドラマのJINにも梅毒は登場しますのでご存知の方もいるかもしれませんね)。では、梅毒は昔の病気かといえば、そうではなく、最近になりまた患者数が増えてきています。

梅毒に感染する理由はさまざまなものがありますが、主なものは性行為です。挿入を伴う性行為だけでなく、オーラルセックスやアナル(肛門)セックスでも感染します。
極めて多彩な症状が現れることが特徴で、成人が感染すると、長い時間(数年間〜十数年間)をかけて皮膚や色々な粘膜、神経に異常が起きてしまいます。長年治療されずに重症となった場合には、死に至ってしまう可能性もあります。

他に血液の曝露による感染や、妊娠中の母から子への感染もあります。妊娠中の母子感染が起こると、子に先天異常(生まれつきの身体や知能の障害)を起こす原因となり、「先天性梅毒」と呼ばれます。また、流産や死産の原因にもなります。

妊婦健診では、妊娠初期に梅毒の血液検査を行います

さて、梅毒が性行為で感染し、また母子感染を起こすとなると、みなさん心配になりますね。しかし、安心してください。実は、日本の妊婦健診では、皆さん全員が、妊娠の初期の血液検査で梅毒について検査することが決められています。

もし、主治医の先生から何も言われてないとすれば、それは梅毒の心配がないということですね。また、妊娠中に性行為を行う場合にコンドームの使用が勧められているのは、妊娠中に新たに性感染症(梅毒を含む)にかかることを予防する意味合いが大きいからなんです。

梅毒は抗生物質で治る病気です

皆さんは周りで梅毒が原因で亡くなられた方の話をほとんど聞いたことがないと思います。なぜかというと、梅毒は抗生物質で治療することが可能な病気だからなんですね。
妊娠の初期に梅毒が見つかった場合、適切に治療が行われれば、胎内母子感染は多くの場合で防ぐことができるといわれています。

また、もし妊娠初期に梅毒が見つかった場合には、ご主人(あるいはパートナー)にも同様に梅毒の検査、治療が勧められます。

以上、梅毒について簡単に述べました。心配であれば、いちど妊娠初期の血液検査を見返していただいてもいいかもしれません。もしそれで不明な点があれば、主治医の先生あるいは産婦人科オンラインの医師に御相談いただければと思います。

*参考文献
厚生労働省. 梅毒に関するQ&A.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 竹中裕

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