最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
性交(セックス)に痛みを感じる女性は5-10人に1人とも言われています。切実な悩みだけれど人に言いにくい、と感じている方が多いのではないかと思います。
原因は様々ですが、適切に対処することで原因をとり除いたり、痛みを改善出来る可能性があります。この記事では原因と対処法、受診の目安についてわかりやすく解説します。
性交(セックス)での痛みの原因は様々。なかには感染症や子宮内膜症が隠れている場合も
性交(セックス)での痛みの原因は様々です。
・腟がもともと狭いこと、また腟の入り口の筋肉が収縮することが原因で痛みを生じる場合
・腟や膀胱、外陰部に炎症があって痛みを生じる場合
・骨盤の中に感染症や子宮内膜症、腫瘍がある場合
・閉経で女性ホルモンの不足による腟粘膜の萎縮や乾燥が原因である場合
・出産や手術などのキズがもとで痛みが始まる場合
などが挙げられます。
また、性交時の痛みには心理的な要素が関わっていることも多く、不安・恐怖や過去の嫌な経験が関係していることもあります。
いつから、どういうときに、どこが痛むのか、お話を伺うことが診断に役立ちます
初めての性交から継続して痛みがある場合と、ある時から痛み出したという場合があり、それにより考える原因が変わってきます。
また、痛みを感じるタイミングも、
・性器に触れる前から痛みを感じる
・挿入時に痛い、もしくは痛くて挿入できない
・挿入後に腟の奥で痛みを感じる
などによっても原因は異なります。
痛みの原因を明らかにするために、これらの情報を診断時に伝えるようにしてください。
悩んだら婦人科に相談を。性交時痛のケアに専門性のあるクリニックもあります
ご自身で対処できることとして、もし腟内の分泌液が足りない(=摩擦が大きい)ために痛みを生じる場合は、潤滑剤を使用することで痛みが改善する場合もあります。婦人科では、体に安全な潤滑剤を処方することもできますよ。
もし、それでも改善しない場合は、治療が必要な原因がある場合もあるので婦人科を受診してください。以下のような病気が隠れている時は、治療法が変わってきます。
・子宮筋腫
・月経困難症
・クラミジア感染症
心理的な要因がある場合は、カウンセリングを提供している施設もあります。きちんとした心理的な対処をすることで、痛みや恐怖心が改善することも少なくありません。ぜひご検討されてみてください。
なかなかセックスの悩みは周りに相談しにくいかもしれません。ただ、なかには治療した方が良い疾患が隠れていることもあります。適切な治療で症状を改善出来る可能性があるので、ぜひ一度専門家に相談されてみてください。
*参考文献
・Up to date “Approach to the women with sexual pain”
・The American College of Obstetricians and Gynechologists “When Sex Is Painful” Patients Resources
ちょっとでも心当たりがあるなと思ったら、産婦人科オンラインの医師・助産師に是非ご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 空野 すみれ)