最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
妊娠中は赤ちゃんの健やかな成長のために、栄養の摂取について気をつけた方がいいポイントがあります。また質のよい食事は安産にもつながります。妊娠中の食事でどんなことに気をつけたら良いかについてお話します。
妊娠中、特にしっかり摂りたい栄養素は葉酸、鉄分、カルシウムです
妊娠前から妊娠初期にかけて、神経管閉鎖障害(生まれつきの神経系の異常の1つ)の発生を減らすために葉酸の摂取が重要です。青菜、ブロッコリー、かぼちゃ、枝豆、いちご、バナナ等に多く含まれています。熱に弱いので加熱せずそのまま食べるのがおすすめです。サプリメントで摂る場合は、摂りすぎに注意しましょう。
また、妊娠中は鉄欠乏性貧血になりやすいため、鉄分を含む食品を積極的に摂りましょう。タンパク質(肉や大豆、卵)やビタミンC(緑黄色野菜、果物)を組み合わせると、より鉄分の吸収率が上がります。
さらに、赤ちゃんの骨の成長にはカルシウムが大切です。妊娠中はママの体から赤ちゃんにもカルシウムが移行するため、普段より多く摂ることを意識しましょう。牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、干しエビや切干大根などがおすすめです。ただし、未殺菌乳やナチュラルチーズなどの乳製品(加工せずに製造されるもの)は避けましょう。詳しくはこちらをご参考ください。
こちらも参考にしてください。
・妊娠中の女性に摂ってほしい適切な栄養素とは?
体重の増えすぎと塩分の摂りすぎに気をつけましょう
妊娠中、赤ちゃんのためにしっかりとご飯を食べることは大切なことです。しかし、お母さんの体重が増えすぎることによって、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病の発症リスクが上がります。また、赤ちゃんが正常範囲を超えて大きくなったり難産になったりと、出産時のトラブルも起こりやすくなります。逆に適切な体重増加がない場合は、早産や低出生体重児のリスクが上がります。
妊娠中の適切な体重増加は、妊娠前の体重によって異なります。BMIを使って、自身の体重増加の目安を知りましょう。
BMI=体重[kg]÷(身長[m]×身長[m])
具体的な体重増加の目安は、こちらを参考にしてください。
そして、体重の増えすぎに気をつけると共に、塩分の摂りすぎにも気をつけることが大切です。レモンや酢等の酸味や、しそやねぎなどの香味、だしの風味を生かす等の工夫をしましょう。外食をしたり、惣菜等買って食べることも気分転換になりますが、カロリーが高く塩分が多いこともあるので、頼りすぎないように気をつけてくださいね。
たくさん噛んでバランスよく3食食べましょう
たくさん噛むことで、食べすぎを防ぐことができます。腹八分目程度がちょうど良いくらいでしょう。バランスよくと言われるとなかなか難しいかもしれません。まずは、「主食」「主菜」「副菜」を基本にして、プラスして「果物」や「乳製品」を取り入れることができるといいですね。
食事を抜いたり、間食を摂りすぎたりすると太りやすくなります。3食どこかを抜くのではなく、夕食を控えめにするとよいでしょう。また、体重を気にしすぎて、タンパク質や炭水化物を抜くのはやめましょう。また、寝る直前に食べると体重が増える原因になります。できれば寝る3時間前には食事を食べ終わっているといいですね。
なお、妊娠中は子宮による胃の圧迫や便秘により、3食毎回に十分な量の食事を摂ることが難しい場合もよくあります。このような時期は、3食にこだわりすぎず、分割して少量ずつ食べることも良いでしょう。食欲がない時期は、妊婦健診でもぜひ相談してみてください。
妊娠中の食事は、産後の授乳や将来の健康にもつながっています。ぜひこの機会に食生活を見直してみてくださいね。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 柴垣奈穂美)