赤ちゃんの寝かしつけのコツは? 〜体内時計と生活リズム〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

「赤ちゃんの寝かしつけってどうすればいいの?」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。赤ちゃんの睡眠について、一緒に考えてみましょう。

まず赤ちゃんの生活リズムを整えることが大切です

人には約25時間周期の体内時計があり、光の刺激によって毎日24時間の地球リズム(サーカディアンリズム)にリセットされています。しかし、生まれたばかりの赤ちゃんは体内時計が十分ではないため、昼夜の区別なく寝たり起きたりを繰り返します。

生後3〜4ヶ月頃になると、メラトニンというホルモンが分泌されるようになります。これは睡眠を促すホルモンで、昼間の分泌量は少なく、夜の睡眠時に上昇します。
メラトニンは起床から約15時間後に分泌されるといわれているため、例えば20〜21時の就寝の時間とする場合は、朝6〜7時に起きて朝日を浴びることがリズムを確立するために大切です。

このように昼夜の区別ができるようになり始め、お父さん・お母さんとの生活リズムなどを手がかりに、朝は起きる、昼間は活動する、夜になったら寝るという24時間周期のリズムに合わせるようになります。
以上のことから、スムーズな寝かしつけのためには、まずは赤ちゃんの生活リズムを整えることが大切です。

赤ちゃんの寝かしつけのポイントは3つあります

赤ちゃんの寝かしつけのポイントをご紹介します。

1.朝起きたときには部屋に朝日を取り込んで、体内時計をリセットさせましょう。
朝日を浴びることで、約25時間周期の体内時計がリセットされて、生活リズムが整います。赤ちゃんが寝ていても、決まった時間にカーテンを開けて室内を明るくしましょう。それだけでも体内時計をリセットするために有効です。

2.日中は月齢に合わせた遊びや規則正しい食事を心がけましょう。
日中の食事や遊び、運動は代謝が上がり、体温が上昇します。それによって得た心地よい疲労感は夜間の深い睡眠へと誘導します。まだ寝返りなどができない赤ちゃんは、お散歩やお母さんとのスキンシップ、室内でできる体操などが効果的です。

3.夜の光にも注意が必要です。
夜、いつまでも赤ちゃんが明るいお部屋で過ごすことは、「眠くなる」ことに関連するメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。例えば、コンビニの店内の明るさは1000ルクス程度と言われており、昼間と勘違いをしてしまう明るさです。

就寝の時間になったら暗いお部屋で過ごし、睡眠の妨げにならないように、夜間の授乳も薄暗いお部屋でできるといいですね。

それでも赤ちゃんが寝付かないときはどうすればいいの?

日中の過ごし方に気をつけても、寝かしつけでどうしてもぐずってしまい困ることもありますね。上記の3つのポイント以外にもちょっとした工夫で赤ちゃんが落ち着くこともあります。

赤ちゃんはお腹の中にいた姿勢のように抱っこされると安心しますので、まるく抱っこするように意識しましょう。また、お腹の中にいたときのような姿勢を保つ方法として「おひな巻き」という方法があります。おくるみなどで赤ちゃんを丸い姿勢で包む方法です。これは、新生児期から手足を活発に動かすようになる3〜4ヶ月頃まで行うことができます。赤ちゃんの様子をみながら行ってみるのもいいですね。丸く抱っこして寝かしつけることも効果的です。

授乳や添い乳での寝かしつけは、赤ちゃんによってはその方法でないと寝付けられなくなることもあります。授乳や添い乳に変わる方法で、赤ちゃんにとって安心できる方法を見つけましょう。

トントンとあやしたり、丸く抱っこしたり、様々な方法を試してみても寝付く様子がないときは、無理に寝かしつけようとせず、薄暗いお部屋で少し気長に赤ちゃんに付き合うのも一つの方法です。就寝の時間にこだわりすぎてしまうと、イライラしてしまうことがあると思います。『こんな日もある』とゆったりとした気持ちで接してあげましょう。

様々な工夫をしても、うまくいかない日もあると思います。ご家族と協力しながら、赤ちゃんの寝かしつけができるといいですね。

*参考文献
・笹木葉子. エビデンスに基づいた育児情報の検討:乳児期の睡眠覚醒リズムの確立,北海道医療大学看護福祉学部紀要12,69−74,2005
・太田英伸ほか:胎児・新生児の眠りの発達,Baby science16,2-10,2016
厚生労働省e-ヘルスネットホームページ. メラトニン.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

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(助産師 村井 亜子

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