オリモノが変と思ったら細菌性腟症かも?〜非妊娠時と妊娠時の注意点〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

「細菌性腟症」という病気、多くの人には聞きなれない言葉だと思います。でも実は海外では3-4人に1人、日本でも5-10人に1人がこの状態にあると言われています。気づかないうちに細菌性腟症の状態になっていて、早産や他の性感染症にかかる危険性が高まることもあります。この記事では症状、リスク、診断、治療についてわかりやすく解説します。

細菌性腟症は「腟内の有害な細菌が増えた状態」です

腟内には、普段から乳酸菌という細菌の一種がいて、腟内を酸性に保つことで、その他の有害な雑菌が入ってくるのを防いでくれています。
細菌性腟症とは、腟内の乳酸菌が減ってしまい、その他の有害な雑菌が増えてしまった状態のことを言います。雑菌が増えると、それが子宮内やお腹の中に入りこみ、子宮内膜炎や骨盤腹膜炎を引き起こすことがあります。
また、ヘルペスウイルスや淋菌・クラミジアなど他の性感染症にかかりやすくなるとも言われています。

どんな症状があるのでしょうか?病院に行く目安は?

典型的な症状は、おりものの増加です。細菌性腟症で見られるおりものは灰白色でさらさらしており、強い臭いがあることがあります。こういった症状があれば、婦人科を受診して検査してもらいましょう。婦人科ではカンジダ・淋菌・クラミジア感染など他の疾患も念頭に置きながら診察をしてくれます。

一方、症状はないけれど細菌性腟症の状態である方もいらっしゃいます。妊娠している方では早産のリスクにも関わってくるため、「スクリーニング検査」として細菌性腟症かどうかの検査を全妊婦さんに行っている施設もあります。(詳細は次を参照)

妊娠中の細菌性腟症は、早産のリスク因子です

妊娠中に細菌性腟症がある方は、ない方に比べて切迫早産や早産のリスクが高くなると考えられています。
おりものの異常に気づいた場合は、早めに担当医に相談されてくださいね。
また医療機関によっては、妊婦さん全員に細菌性腟症の検査を行っているところもあります。

細菌性腟症が認められた場合は抗生剤の内服や腟内投与により治療します。
女性から男性には移りにくいため、女性が細菌性腟症になってもパートナーの治療が必要になることはありませんが、女性から女性のパートナーには移る事があると言われているので治療を勧めることが一般的です。

予防としては、性交渉時にコンドームをつけていただくことが大切です。また、喫煙やご自身による腟内洗浄は、細菌性腟症のリスク因子と言われていますのでこれらの行為は避けましょう。

細菌性腟症は比較的よくある疾患です。おりものの変化に気づいたときは、怖がらずに婦人科を受診してくださいね。

*参考文献
・Up to date “Bacterial vaginosis: Clinical manifestations and diagnosis”
・小野瀬みどり「当院での妊婦細菌性膣症への治療に関する検討」2009 日本周産期・新生児医学会雑誌 第45巻 第4号.


ちょっとでも心当たりがあるなと思ったら、産婦人科オンラインの医師・助産師に是非ご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 空野 すみれ

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