最終更新日: 2024年3月22日 by 産婦人科オンライン
子宮筋腫は婦人科の良性腫瘍のうち一番多くみつかるもので、月経の量が増えるなど、困った症状が出ることも少なくありません。今回は、子宮筋腫の症状や治療についてわかりやすくまとめました。
治療対象になる子宮筋腫のパターンを知っておこう
子宮筋腫があっても、約半分の人は症状がなく検診などで偶然見つかることが多いです。良性の腫瘍のため、サイズが小さくご自身で困っている症状がなければ、必ずしも治療が必要なわけではありません。
しかし、下記のような場合には、治療の対象となります。
1. 自覚症状(過多月経や尿もれなど)がとても重くて健康や生活に支障が出ている
2. 妊娠を希望していて子宮筋腫が不妊症の原因と考えられる
3. 悪性腫瘍(がん)と見分けがつけられない
治療法1:手術や血管内治療
妊娠の希望がない場合、根本的治療は子宮全摘術(子宮だけを摘出する)となります。
妊娠の希望がある場合、子宮筋腫核出術(子宮筋腫だけをくり抜く)や、子宮動脈塞栓術(お腹を切らずに子宮周りの血管を人工物で詰める)も選択肢となります。
手術は、開腹、腹腔鏡、腟式などの種類があり、子宮筋腫の大きさや数などによって検討されます。
ただし、子宮全摘術以外の治療法では、手術や血管内治療後に再発の可能性があります。
治療法2:薬による治療
症状が比較的軽い場合は、対症療法として、
・鉄剤(貧血に対して)
・止血剤(過多月経に対して)
・鎮痛薬(月経痛に対して)
・漢方薬
などが処方されます。
その他に、ホルモン療法として、
・内服薬(GnRHアゴニストやエストロゲン・プロゲスチン配合薬)
・子宮内に留置する製品(レボノルゲストレル放出子宮内システム [LNG-IUS]:商品名ミレーナ)
があります。
薬の注意点として、GnRHアゴニストは、骨粗鬆症のリスクがあるため6カ月以上の連続使用はできません。また、エストロゲン・プロゲスチン配合薬やLNG-IUSは、月経困難症や過多月経の症状を緩和させる効果はあるものの、子宮筋腫を大きくさせてしまう可能性もあるので、慎重な判断と定期的な検査が必要となります。
子宮筋腫はとても多くの女性に関係する婦人科疾患ですが、治療が必要なケースは一部のみです。
ただし、不妊症や過多月経など深刻な影響を与えることもあります。
ご自身が子宮筋腫をもっているか、治療は必要なのかをぜひ婦人科検診等でチェックしてくださいね。
なお、子宮筋腫の種類や症状についてはこちらの記事をご覧ください。
*参考文献
・ACOG. FAQ. Uterine Fibroids.
・NHS. Fibroids.
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 清田裕美)