乳腺炎対策 ~新型コロナ感染拡大防止のなかで母乳育児を続けるには?〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

乳腺炎は母乳育児中のママがよく経験する乳房トラブルの1つです。ここでは、乳腺炎の種類や症状、その予防と改善方法や受診するタイミングなどについてお話ししたいと思います。
また、今は新型コロナウイルス感染の問題もあります。感染予防をしながら母乳育児が順調に進むようアドバイスできたらと思います。

乳腺炎の種類と症状を知っておきましょう

乳腺炎には2つのタイプがあります。
母乳が上手く出ずに乳腺内に溜まってしまうことによって起こる「うっ滞性乳腺炎」と、乳首にできた傷などから乳管へ細菌が入って起きる「化膿性乳腺炎」です。

乳腺炎の症状には、
・授乳中のおっぱいの痛みや焼けるような感覚
・おっぱいを圧迫する感じやチクチク感
・おっぱいの腫れ
・おっぱいの赤み
・おっぱいの熱感
・疲労感と体調不良
・悪寒と発熱
などがあります。

発熱した時、今は新型コロナ感染が心配になりますね。厚生労働省は、
①高熱
②強いだるさ、倦怠感
③息苦しさ、呼吸困難感
のいずれかの症状がある場合が受診の目安になるとしています。

このように、乳腺炎と新型コロナウイルス感染では、共通して発熱や倦怠感などの症状があります。ただし、乳腺炎の場合は、主な症状が乳房に出ることが多いとされています。気になる症状がある時には、助産師や医師に相談してみて下さい。産婦人科オンラインでももちろんご相談いただけます。

母乳をしっかり飲んでもらい、細菌が入らないようにすることが大切です

子育てしながら授乳中に痛みを感じるのはとても辛いですね。そうならないようにするには、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。
簡単にまとめると、「母乳のうっ滞を作らないこと」と「細菌が入るのを防止すること」が大切です。
いくつか参考になることをご紹介します。

➀授乳の間隔を空け過ぎないようにする
お子さんのリズムがあるでしょうが、授乳間隔は3~4時間以上は空けないようにしましょう。どうしても授乳後に残った感じでしこりがある場合は、お母さんが楽になるくらいまで搾乳し、しこりを柔らかくしましょう。

②おっぱいをしっかり深く咥えさせる
吸われて乳首が痛かったり、ちゅぱちゅぱと音がしている時はもう1度深く咥えさせ直しましょう。乳首に傷ができないようにするためにも大事なポイントです。

③体調を整える
感染しないよう体力を保てるような生活を心がけましょう。例えば、バランスの良い食事と睡眠をとることです。夜間授乳で眠れない時には日中の仮眠が必要です。
産後の身体で体力が低下し、育児と家事とで休息も十分にとれないかも知れません。そんな時は、ご主人に協力してもらえることはお願いし、買い物は宅配を利用したり、総菜を多めに作り冷凍しストックしておくなど家事の負担を減らして、休める時間を作りましょう。

④手洗いをする
授乳前後の手洗いを心掛け、細菌が乳頭などにつかないよう心がけましょう。

乳腺炎になっても授乳は続けましょう

乳腺炎になった時の対処法をお話しします。
乳腺炎になっても授乳はできます。まずは、お子さんにしっかり母乳を飲みとってもらうことが大切です。この時、抱き方を変えてみたり、深く咥えられているかをしっかり確認しましょう。

乳腺炎によっていつもと味が変わっていることがあり、お子さんが吸ってくれない時もあります。そんな時はトラブルがない方から吸わせ、少し飲みだしたら乳腺炎側の方へさりげなく移すとよいです。眠気がある状態の時はいつもより多く吸ってくれることもあります。

それでもしこりや張り、痛みを感じる時は、少し張りが楽になったと感じる程度まで搾乳するほか、保冷剤などで心地よいと感じる程度に冷やすと痛みが和らぎます。
これらのことを試して身体を休めても、熱が38.5℃以上になったり、乳房の赤みや張れが酷くなった時には受診しましょう。
また授乳が大変な時は、搾乳したものをご家族に哺乳瓶からあげてもらうこともできます。

感染の不安がまだ落ち着きませんが、家族全員で日々の検温を行い、体調管理に気を付けていきましょう。そして、産後の心身は想像以上に疲れが溜まりやすいですので、くれぐれも無理しないようにしてくださいね。

*参考文献
新型コロナウイルス感染症(COVID-19) (日本母乳の会)
新型コロナウイルスと母乳育児について(国立成育医療研究センター)


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 金子ゆきこ

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