最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
月経に伴う症状でお悩みの女性はとても多く、日本では月経がある女性の70〜80%は何らかの症状を自覚しています。症状としては、下腹部の痛み、お腹のはり、腰痛、いらいらするなどの症状があり、総称を月経困難症といいます。月経困難症の概要についてはこちらで解説していますので、よろしければ参考になさってください。
今回は月経困難症の、痛みへの対応方法について紹介します。
どうして月経のときは痛くなるの?
月経のときには子宮の内膜が剥がれて、子宮が収縮することで体外へ排出されます。子宮を収縮させるために、プロスタグランジンという物質が働いていて、このプロスタグランジンの分泌量が多い女性は月経時の痛みが強くなる傾向があります。また、子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患があると痛みが強くでることもあります。
あまりに強い痛みが続く場合や痛み止めがないと生活に困ってしまう場合などでは、早めに婦人科で相談されることをおすすめします。
痛み止めは「痛くなりはじめた」時に服用を
月経に伴う下腹部の痛みや腰痛の程度はかなり個人差があります。ほとんど気にならない方から、痛みで日常生活に支障をきたしてしまう方もいます。よく患者さんから聞かれるのが、「生理痛のときってどうしたら楽になりますか」という質問です。
一番即効性があるのは痛み止めを使うことです。痛みの原因であるプロスタグランジンは、痛み止めによってその働きを阻害することができます。
「頭痛薬として売っていた薬を生理痛にたいして内服していいのか不安」というご相談もありますが、鎮痛薬であれば一定の効果は期待できます。私たち婦人科医がよく月経に伴う痛みにたいして処方する薬も一般的な鎮痛薬です。
また、かなり痛みが強くなってから痛み止めを使用しても効果が表れるのに時間がかかったり、あまり効果が得られないこともあります。「痛くなってきたな、と思ったところで使用する」のがおすすめです。
月経痛への強い味方、低用量ピル(OC/LEP)
痛み止めのほかにも、月経痛への対策があります。いわゆるピル(低用量経口避妊薬:OC)を内服することで、排卵を抑制して、痛みの根本を和らげる方法です。
日本はピルの内服に抵抗がある方が多く、世界平均のピル使用率が20%程度、ヨーロッパでは40%程度ですが、日本は1〜5%といわれています。ピルは内服についていくつかの注意点はありますが、月経困難症がつらい場合は内服するメリットのほうが大きいこともあります。ピルは基本的には婦人科の受診が必要になりますので、月経に伴う症状でお悩みでしたら一度婦人科にご相談ください。
なお、避妊目的に処方されるピルは自費となりますが、月経痛(月経困難症という病名)に対して処方されるピル(低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤:LEP)は保険診療の扱いになります。ぜひ、産婦人科で先生の説明を聞いてみてくださいね。
漢方での対応も効果あり
また、漢方薬で対応することもあります。漢方薬は、元々のご自身の状態に合わせて内服する薬の種類を決めたほうが効果があると言われています。初めて内服する場合や薬を変更したい場合には、薬局や婦人科でご相談いただくといいと思います。
なお、子宮内挿入型の医療器具については別記事でご紹介しています。
いかがでしたでしょうか。私が患者さんと接していると、生理痛はあって当たり前、と考えて我慢している方が多いです。生理痛を我慢しすぎる必要はないので、適切に痛みに対応して、月経中でもご自身らしく生活できるといいですね
*参考文献
・ACOG FAQ. Dysmenorrhea: Painful Periods.
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 大村美穂)