避妊にはどんな方法があるの? 産婦人科医が解説します

最終更新日: 2024年4月3日 by 産婦人科オンライン

皆さんは、「避妊方法」と言えば何を思い浮かべますか?恐らく、ほとんどの日本人女性は、コンドーム、リズム法、腟外射精といった、安価で簡便な方法を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、これらの方法は避妊効果が決して高いとはいえません。ホルモン作用を利用するタイプの避妊方法は、より確実な避妊効果がありますが、まだ日本での使用率は4-5%と低い状況です。自分に合った避妊方法を選べるように、色んな避妊方法の知識を持つことが重要です。

避妊方法の種類(1) ホルモン作用のあるタイプ<避妊成功率高>

・経口避妊薬(低用量ピル):2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が配合された内服薬で、1日1錠決まった時間に内服します。副効用として、月経困難症やニキビの改善効果もあります。(飲み忘れがなければ避妊失敗率は0.3%)

・ミレーナ(子宮内避妊システム):子宮内に挿入・留置するプラスチック製の避妊具です。プロゲステロンがおよそ5年間に渡って徐々に放出されることで子宮内膜が厚くならず、受精卵の着床を防ぎます。月経血が減少するメリットもあります。(きちんと留置できていれば避妊失敗率0.2%)ただし、出産経験がない女性の場合には、挿入時に多少の痛みを感じることもありますので担当医に相談してみましょう。

上の2つの方法は自費診療となりますが、避妊効果がとても高く、使用を中止すればまたすぐに妊娠可能となります。

避妊方法の種類(2) コンドームなどホルモン作用のないタイプ<避妊成功率低>

・コンドーム:利用法が簡単でコンビニなどでも入手できますが、破損・着脱で失敗する可能性があり、男性の協力が必要です。大きなメリットとして性感染症の予防ができます。(理想的な使用をした場合の避妊失敗率は2%、現実的には15%というデータもあります)

・子宮内避妊器具(銅付加型):子宮内に挿入・留置するプラスチック製の避妊具です。銅イオンが約2-3年に渡って放出されることで、受精と着床の両方を予防をします。(避妊失敗率0.2%)

・避妊手術:男性はパイプカット(精管切断)、女性は卵管結紮を行います。避妊効果は高いですが、一度手術をすると元に戻すことはできないため、実施前に十分な検討が必要です。(避妊失敗率 0.1〜0.15%)

・リズム法:基礎体温を測り排卵日を予測し、避妊の目安にする方法です。あくまで予想のため失敗率は9〜25%と高めであり、お勧めされません。

・腟外射精:射精前にペニスを腟外に出すことですが、射精前に精液が放出されることもあり、避妊失敗率は高いです。避妊方法とは言えないものと考えてください。

緊急避妊法は性交後72時間以内の服薬が必要

緊急避妊法(主にアフターピル)とは、望まない妊娠を防ぐための緊急手段です。妊娠を望んでいないにも関わらず避妊をせずに性交渉をしてしまったり(性暴力を含む)、性交渉時の避妊を失敗した場合に、性交後に妊娠を防ぐことができます。ただし100%ではありません。
性交後72時間以内に、緊急避妊用のホルモン製剤(主な商品名:ノルレボ、レボノルゲストレル)の内服が必要となります。なるべく早く飲むことで避妊効果が高まります。

緊急避妊薬の処方には基本的に産婦人科受診が必要ですが、長年、日本での緊急避妊薬の手の入りにくさが問題視されていました。そこで、令和1年7月より、例外処置としての「産婦人科受診なしでのオンライン診療による処方」が可能になり、そのような問題は解消されつつあります。望まない妊娠を防ぐために、それぞれの避妊方法の特徴を理解した上で、自分のライフスタイルに合った避妊方法を見つけるようにしましょう。

*参考文献
女性の健康推進室 ヘルスケアラボ. 避妊.(厚生労働省研究班監修)


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 尾市 有里

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