食べ物からお腹の赤ちゃんにうつる感染症(1)トキソプラズマ

普段食べている何気ない食事の中に、胎盤を通して赤ちゃんに感染してしまう怖い病原体がいることをご存知でしょうか?
その病原体として、主にトキソプラズマとリステリアが挙げられます。今回は、トキソプラズマについてお話したいと思います。

加熱が不十分な肉に要注意

トキソプラズマは原虫という寄生虫の一種で、ヒト・牛・豚・馬・鶏など多くの動物に感染します。ヒトへの感染は、病原体を含む肉を食べることで起こります。
病原体は70℃、15分以上の加熱処理によって死滅し、感染のリスクは無くなると言われています。つまり、生焼けの肉や生ハム、非加熱処理のレバー・パテなどは感染のリスクがあります。

一般的に成人が感染すると、8割で症状が出ませんが、2割の人でリンパ節が腫れたり、発熱・筋肉痛が出たりします。

妊娠前6ヶ月〜妊娠中にお母さんに感染すると、赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症に感染するリスクがあり、脳症や頭蓋内石灰化や網脈絡膜炎など重い障害を抱えてしまう可能性があります。

ネコの糞・ガーデニングにも注意

トキソプラズマに関しては食事以外にも気をつけることがあります。それは、ネコの糞や土いじりから感染してしまうというリスクです。
トキソプラズマの病原体はネコ科動物の糞に混じって排出された後、始めは感染力を持っていないものの、1−5日で徐々に感染力が強くなります。
感染して2週間のネコが病原体を排出するため、ネコを感染させないことも重要です。なお、排出されたトキソプラズマは数ヶ月以上生存すると言われています。

感染しないために守りたい食事・習慣7つ

トキソプラズマの感染予防は、食事・習慣ともに注意が必要です。以下のことに気をつけましょう。

  1. 生肉の扱いは、妊娠中ではない家族などにしてもらう。それが不可能な時はゴム製の清潔な手袋をする。
  2. 生肉が接触したまな板、洗い場、包丁等は、よく洗い、その後で、手も水とセッケンでよく洗う。
  3. 全ての肉をよく加熱する。肉の中心部からピンク色が失せて肉汁が出なくなるまで加熱する。
  4. ネコのトイレ掃除、庭いじり、土・砂に触れるようなときには、手袋を着ける。
  5. ネコや土、砂に触れた後は、水とセッケンでよく手を洗う。
  6. 新しく猫を飼わない。飼い猫は外に出さない。
  7. 猫に生肉を与えない。

食事や習慣を気をつけることで、防げる感染があります。後悔のないように、妊娠を考える段階から注意してくださいね。
関連記事「食べ物からお腹の赤ちゃんにうつる感染症について(2)リステリア」では、リステリアについて解説しています。合わせて読んでみてくださいね。


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(産婦人科医 尾市 有里