最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
子宮の大きさは赤ちゃんに合わせてゆっくり大きくなりますが、出産すると一気に自分ではわからない位に小さくなります。今回はそんなダイナミックな変化をする子宮についてまとめてみました。
6~8週間で子宮は元の大きさに戻ります
出産で赤ちゃんと胎盤が出ると、直ぐに子宮は収縮を始めます。子宮の壁にある筋肉が一斉に縮むことで、赤ちゃんに栄養を届けていた血管が閉じて、出産後の出血を止めることが出来るのです。
このメカニズムがうまく働かない時は、たくさん出血してしまう前に、子宮をマッサージで刺激したり、子宮収縮剤を使います。子宮収縮は止血するだけではなく、他にも重要な役割を担います。
子宮が縮まることで、胎盤とともに外に出きらなかったもの(卵膜のかけらなど)を外に出すことも出来ます。この時は子宮がよく収縮しているので、子宮は大体おへそから大分下でしか触れない位小さくなっています。半日くらい経つと、子宮は少しだけ緩んでお臍下くらいでも触れるようになり、その後1週間は子宮を触れる位置が毎日1㎝くらいずつ下がっていきます。大体2週間くらいすると、お腹の上からは触れなくなり、6〜8週間で元の大きさにもどります。
退院後には異常のサインを見逃さないように
問題ない出産であれば、大体の人は5日間前後位で退院すると思います。退院してからも、授乳や沐浴、おむつを替えたりと赤ちゃん中心の生活で大忙しだと思いますが、もし次に説明するサインがあったら自分の体の声に少し耳を傾けてみてください。子宮に何か異常が起きているのかもしれません。
異常のサイン:出血、腹痛、発熱
<異常のサイン1: 突然の思いがけないくらいの性器出血>
産後の多量出血はほとんどが出産した日に起こりますが、その後でもまれに起こることがあります(1〜2%位)。原因として多いのは、子宮内に妊娠していた時の遺残物があったり、ばい菌が入っていたりしたときです。出血する時に、お腹の張りや痛み、発熱を伴うときもあります。
突然の出血で気が動転すると思いますが、落ち着いてかかりつけの病院に相談してみましょう。
<異常のサイン2: 腹痛を伴う発熱>
出産後しばらくは子宮にばい菌がつきやすくなっています。38度以上の発熱が続いていて、下腹部が張って、痛みもあるときは子宮に細菌が感染したのかもしれません。自分で大丈夫だろうと判断して解熱剤を飲む前に、これもかかりつけ医に一度相談してみていいかと思います。
以上、今回は出産後の子宮のお話でした。子宮は赤ちゃんを育てる大切な臓器です。出産した後はどうしても赤ちゃんを優先してしまうかと思いますが、自分の体もしっかり労わってあげてくださいね。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師、助産師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 高野恭平)