パパになるなら知っておきたい、タバコと妊娠の話〜未来の家族のために、今日から禁煙を〜

公開日: 2025年9月16日

お子さんを迎えたいと考えたとき、どうしても女性側の準備ばかりが注目されがちですが、実は、男性の喫煙も妊娠や出産に大きな影響を与えることがあります。

この記事では、妊娠を望むカップルにとって知っておきたい「男性の喫煙による影響」についてお伝えします。

妊活中の男性ご本人はもちろん、「パートナーにうまく伝えたい」と思っている女性にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。

妊娠を遠ざける?〜男性の喫煙と不妊の関係〜

喫煙は、精子の数や運動率、形、DNAに悪影響を及ぼすことがわかっています。特に1日20本以上吸うと、精子濃度が非喫煙者より20%も低くなるという報告もあります。

不妊治療をしている場合でも、喫煙男性がいると妊娠率や出産率が低下することが示されています。また、新しい喫煙の選択肢として人気を集めている「電子タバコ」も同様に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

こうした背景から、多くの不妊治療クリニックでは、治療の一環として「禁煙」をサポートする取り組みが行われています。

パートナーと赤ちゃんを守るために〜受動喫煙のリスクを知ろう〜

妊娠中の喫煙は、お腹の赤ちゃんにも大きな影響を与えます。流産のリスクが高まるほか、赤ちゃんの体や脳の発育が妨げられることもあります。また、妊娠高血圧症候群や常位胎盤早期剥離(じょういたいばんそうきはくり)といった妊娠中の合併症を引き起こすことがあり、母体や赤ちゃんの命にかかわることもあります。

これらのリスクは、女性自身がタバコを吸っていなくても、まわりの人の煙を吸う「受動喫煙」でも同じように起こりえます。そのため、妊娠を考えるタイミングで家族みんなで禁煙に取り組むことがとても大切です。

家族の未来のために〜今日から始める禁煙〜

「禁煙しよう」と思えた今が、始めどきです。まずは1日吸わずに過ごしてみることから始めましょう。禁煙外来や禁煙アプリ、家族の応援など、頼れるサポートを活用することで、より効果的に継続できると思います。

喫煙は、男性の精子の質に悪影響を及ぼすだけでなく、受動喫煙を通じてパートナーの妊娠しやすさにも影響を与えることがあります。また、妊娠中の合併症や赤ちゃんの発育へのリスクも高まることがわかっています。将来の妊娠や赤ちゃんの健康のために、できるだけ早めの禁煙を試みましょう。

<参考文献>
The Effects of Cigarette Smoking on Male Fertility. Postgrad Med.2015 Apr;127(3):338-341.
Paternal smoking is associated with an increased risk of pregnancy loss in a dose-dependent manner: a systematic review and meta-analysis.F&S Reviews.2021 Jul;2(3):227-238
Tobacco or marijuana use and infertility: a committee opinion.F&S.2024 Apr;121(4):589-603
Use of e-cigarettes associated with lower sperm counts in a cross-sectional study of young men from the general population. Hum Reprod. 2020; 35(7):1693-1071

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインでご相談ください。

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