公開日: 2025年6月9日
妊娠を考え始めた時、その前にどんな準備が必要だろう?と思うことがありますよね。妊娠前の準備は「プレコンセプションケア」と呼ばれており、ネット上には様々な情報が溢れています。今回はその中でも【妊娠「前」に打つべきワクチン】について、産婦人科医の立場でまとめました。
妊娠「前」に打つことが推奨されているワクチン①
風疹ワクチン

風疹は、妊娠期前半に感染してしまうと赤ちゃんに目や耳の異常、心臓の異常を起こしてしまう可能性があります。
風疹の抗体(風疹と戦うための武器)を採血検査でチェックして、もし不十分であった場合は妊娠前にワクチンを接種しましょう。風疹ワクチンは接種した後2ヶ月の避妊が必要です。
妊娠「前」に打つことが推奨されているワクチン②
麻疹ワクチン

麻疹は赤ちゃんの体に影響を与えることはないと言われておりますが、妊婦さんが感染してしまうと流産や早産をおこしやすくなってしまいます。
麻疹の抗体をチェックして、もし不十分であった場合は妊娠前にワクチンを接種しましょう。このワクチンも接種した後2ヶ月の避妊が必要です。現在は風疹と麻疹のワクチンが一緒に打てるものも多いです。
妊娠「前」に打つことが推奨されているワクチン③
水痘(水ぼうそう)ワクチン

水ぼうそうも妊娠期前半に感染すると赤ちゃんの目や脳、体の異常を起こしてしまう可能性があります。
水ぼうそうの抗体をチェックして、もし不十分であった場合は妊娠前にワクチンを接種しましょう。このワクチンも接種した後2ヶ月の避妊が必要です。
妊娠前、妊娠中に打つことが推奨されているワクチン④
インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチン

インフルエンザ感染症、新型コロナウイルス感染症は妊婦さんが感染すると重症化しやすいと言われています。妊娠中でも安心して接種できるため、特に流行期は早めにワクチンを接種しましょう。
妊娠前、妊娠中に打つことが推奨されているワクチン⑤
RSウイルスワクチン

RSウイルスは風邪を引き起こすウイルスの一種ですが、重症化するとひどい肺炎になってしまうことがあります。
特に生後半年未満の赤ちゃんは重症化しやすいですが、この時期には赤ちゃんに直接ワクチンを接種することができません。そのため、妊娠中にお母さんにワクチンを接種すると赤ちゃんにRSウイルスに対する抗体をプレゼントすることができます。妊娠24週から36週の間に接種することができます。
そのほかに、おたふくかぜのワクチン(ムンプスワクチン)も妊娠前の接種が有用と言われています。HPVワクチンは妊娠希望の有無に関わらず、早めに接種することが望ましいです。
これらのワクチンは、妊婦さんだけではなくパートナーの方や同居している方も接種が推奨されます。妊婦さんと赤ちゃんのために、みんなでできることを行いましょう!
<参考文献>
・Givens KT, et al. Congenital rubella syndrome: ophthalmic manifestations and associated systemic disorders. Br J Ophthalmol. 1993;77(6):358-363.
・Ragusa R, et al. Measles and Pregnancy: Immunity and Immunization-What Can Be Learned from Observing Complications during an Epidemic Year. J Pregnancy. 2020;2020:6532868.
・Sauerbrei A, et al. The Congenital Varicella Syndrome. J Perinatol. 2020;20: 548–554.
・Wolfe DM, et al. Safety of influenza vaccination during pregnancy: a systematic review. BMJ Open. 2023;13(9):e066182.
・Gerede A, Daskalakis G, Mikos T, et al. Safety of COVID-19 Vaccination in Pregnancy: A Systematic Review. Diagnostics (Basel). 2024;14(16):1775.
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