妊娠初期の人工妊娠中絶:現在推奨される方法と選択肢について

公開日: 2023年7月10日

最終更新日: 2026年3月24日

妊娠はおめでたいことですが、様々な理由により妊娠を諦らめなければならないことがあるのも事実です。日本において人工妊娠中絶は妊娠21週6日までであれば実施可能です。本稿では、そのうち妊娠12週頃までに実施される人工妊娠中絶手術に関して記載します。(それ以降の時期には、入院して「分娩」のかたちをとることが多くなります)

中絶の手術と流産の手術は、同じ手術

手術の具体的な手技に関しては、麻酔、子宮頸管の拡張、内容物の除去、というステップが必要です。これらの方法は、流産の手術と同様です。

以下の順番で実施されます。

  1. 多くの場合、局所麻酔、全身麻酔、あるいはその併用で行われます
  2. その後、子宮頸管の拡張
  3. 続いて、子宮内容物の除去

という流れになります。麻酔も含めて、これらの処置は10~20分程度、長くても30分程度で終了します。

子宮内容物の除去方法として、かつては金属製の器具を用いて内容物を掻き出す搔爬(そうは)法(D&C)が広く行われていました。しかし、WHOおよび日本産科婦人科学会の指針では、搔爬法は子宮内膜損傷や子宮穿孔、疼痛のリスクが高いことから、現在は推奨されない方法とされています。

現在、妊娠初期の人工妊娠中絶においては、手動吸引法(MVA)や電動吸引法(EVA)といった吸引法が推奨されており、多くの医療機関で採用されています。

手術の合併症には、子宮の穿孔(子宮に穴が開く)、感染、出血、再手術などがあります。しかし、その件数は1000件中4件程度かそれ以下とされています。

中絶の費用は保険適用外

流産の手術が、「病気」に対しての治療の扱いとなり、保険が適用されるのに対し、中絶の手術はあくまで病気とは異なる手術の扱いとなることから、健康保険が適用されず、自費での手術となります。

全ての産婦人科の医療機関で中絶手術を行っているわけではありません。また、入院可能な施設でなくとも中絶手術を行っている医療機関もあります。近隣の産婦人科が中絶手術を行っているかどうかは、医療施設のウェブサイトや、電話等で確認するのが良いでしょう。

予期せぬ妊娠を防ぐことが重要

誰も、望んで中絶の手術を受けるわけではありません。低用量ピルの服用や子宮内避妊具など、避妊効果の高い方法が存在します。中絶を経験した場合には、その後の妊娠・避妊について、医療者と相談することも重要です。

日本では、2023年に経口中絶薬(メフィーゴパック)が承認され、妊娠初期の人工妊娠中絶における選択肢の一つになってきています。現在の運用では、認定された施設での実施が原則とされ、服用後は一定時間の院内待機や経過観察が行われます。

本記事では初期の妊娠に対する人工妊娠手術に関して概説いたしました。中絶を考えている方は、手術にするか経口薬にするかも、医師とご相談ください。

<参考文献>
厚生労働省.「いわゆる経口中絶薬「メフィーゴパック」の適正使用等について」
・Nakamura E, et al. Medical Safety and Education Committee of the Japan Association of Obstetricians and Gynecologists (JAOG), Tokyo, Japan. Survey on spontaneous miscarriage and induced abortion surgery safety at less than 12 weeks of gestation in Japan. J Obstet Gynaecol Res. 2021 Dec;47(12):4158-4163.
WHO.Abortion Care Guideline.


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