体外受精 ~治療内容と費用について~

令和4年4月から体外受精が保険適用になりました。そもそも体外受精とはどういうものなのか、治療内容と費用について解説します。

体外受精の方法と対象となるケース

体外受精とは、卵子を体内から取り出して、体外で卵子と精子を受精させ、受精した卵を体内に戻す方法です。
この治療が対象になるのは、人工受精を行っても妊娠しない方、卵管の閉塞などで卵子が子宮内に移動できない方、受精に障害がある方、男性不妊の方などです。

2019年に体外受精で生まれた赤ちゃんは6万381人でした。2020年の出生数は84万832人なので、約14人に1人が体外受精により生まれた赤ちゃんです。体外受精で生まれる赤ちゃんの割合は年々増加傾向です。

体外受精の治療内容

体外受精の治療内容は
(1) 排卵誘発
(2) 採卵
(3) 培養
(4) 移植
に分けられます。

(1) まず、排卵誘発についてお話します。通常、1か月に1個の卵子が卵巣から排卵されますが、お薬を使って卵巣の中の卵子を多く育てることを排卵誘発といいます。使う薬はさまざまで、ご自身の卵巣機能によって使い分けます。医療機関によっては、排卵誘発の薬を使用しないこともあります。
(2) 次に行うのが採卵です。腟から細い針を通して卵巣から卵子を取り出します。その後、卵子と精子を受精させます。精子を振りかけるのみで受精させることもありますし、顕微受精といって、精子を卵子の中に注入することもあります。
(3) その後、胚(受精した卵)を育てることを培養といいます。培養期間は治療スケジュールによって異なり、2~6日間です。
(4) 最後に、培養後の胚を子宮の中に戻します。これを胚移植といいます。移植された胚が子宮の中で育つと妊娠が成立します。移植してから1~2週間後に妊娠しているか判定をします。

体外受精は保険適用になります

不妊治療の保険適用になる条件は治療内容によって異なります。

体外受精は保険適用になる治療のため、費用は3割負担になります。使用する薬剤や採卵する個数により治療費は異なります。
なお、保険適用になっていない薬を使用する場合や、保険適用にならない条件の場合は自費での支払いになります。

参考文献

・一般社団法人日本生殖医学会. 生殖医療の必修知識2020. 
日本産科婦人科学会. 2021年体外受精・胚移植等の臨床実施成績.
厚生労働省. 令和2年(2020)人口動態統計.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

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(産婦人科医 大村美穂

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