なんとかしたい産後のつらい肩こり 〜姿勢改善や授乳の合間にできるストレッチ〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

肩こりは、腰痛と並んで日本人に最も多い症状のひとつです。さらに産後は、授乳や赤ちゃんの抱っこなどで慣れない姿勢が続き、肩こりを発症・悪化させる方もいらっしゃいます。産後1ヶ月時点で7割以上の女性が肩こりに悩んでいるとも報告されています。仕方ない…と諦める前に、産後に起こる肩こりの原因と対策について少し学んでみませんか。

産後は抱っこや授乳、乳房の張りなど、肩こりの原因だらけ!

一般的に、肩こりの原因は生活習慣によるものが多いと言われています。姿勢(猫背・前かがみ、長時間の同一姿勢など)、運動不足、精神的なストレスなどが代表的です。さらに、冷房による冷えや、ショルダーバッグなど荷物をいつも同じ側で持つ、 といったことも原因になりそうです。
こうした状態によって肩の筋肉に負担がかかったり、血流が悪くなり筋肉の柔軟性が落ちてしまうと痛みを感じることがあります。

特に産後には、おむつ替えや授乳など赤ちゃんのお世話全般において、首を曲げ胸を閉じ、前かがみになる姿勢が急増します。抱っこや授乳で左右決まった側を酷使することもありますね。また、乳房が張って重たくなったり、痛みを感じている場合には、肩周りを動かす機会が減ってしまいます。それによって肩の筋肉が張り続け、肩こりを発症することもあります。
他にも、妊娠中からの姿勢の変化や分娩時の骨盤の変化、産後の運動不足や睡眠不足・ホルモンの変化によるストレスも肩こりの一因になり得ます。このように、産後は肩こりを発症・悪化させる要因がたくさんあります。

今日からできる、産後の肩こり対策1「姿勢の見直し」

産後に発症・悪化することが多い肩こりですが、原因がわかると対策も取りやすいですね。
対策のポイントは、「姿勢の見直し」と「ストレッチ」です。まずは姿勢の見直しのために下記の項目をセルフチェックし、今日から対策を始めてみませんか?

<赤ちゃんを抱っこする時>
・猫背になっていないか
・前屈みになりすぎていないか
・左右の腕を均等に使っているか
・抱っこ紐を正しく使用できているか、など

<授乳する時>
・猫背になっていないか
・赤ちゃんを引きつけているか(赤ちゃんに覆いかぶさるように前屈みになっていないか)
・クッション等を使って適切な高さに調整できているか
・肩周りを覆うものがなく冷えていないか、など

今日からできる、産後の肩こり対策2「ストレッチ」

続いて、ストレッチのポイントです。

1.肩周りを動かす機会が減りがちなので、積極的に動かしてみましょう
・指先を肩につけ、肩関節をぐるぐると回す。授乳の前後で行うと習慣化しやすいのでおすすめです。呼吸を止めず、ゆっくり大きく動かします。
・授乳中は下を向き続けるのではなく、首のストレッチタイム。頭の重さを活かして、首を前後左右に傾けてみましょう。赤ちゃんの吸着に影響しないくらいの小さな動きでも、肩の張っている部分をしっかり伸ばすことで気持ち良さが感じられるはずです。

2.胸を閉じる動作が多いので、胸を開く動きを行ってみましょう
・背中側で両手を組んで、手のひらを上に向けたら、肩甲骨を寄せ、できるだけ肩を後ろに引きます。そのまま呼吸を止めずに、頭を後ろに倒していきます。真上を向き、できたら後ろまで覗くような気持ちでやってみましょう。

産後は抱っこや授乳など、前屈みで胸を閉じた姿勢が多いので肩こりが起こりやすいですが、姿勢の見直しとストレッチで今日から対策をしてみましょう。もし症状が悪化したり、日常生活に支障をきたしているような場合には、高血圧や血管・神経の病気が隠れていることもあるので、一度病院を受診してみましょう。

参考文献
・Koyasu K, et al. The prevalence of primary neck and shoulder pain, and its related factors in Japanese postpartum women. Clin Exp Obstet Gynecol 2015 ;42(1):5-10.
・マザーヘルス協会、産後リハビリテーション研究会監修、産前産後の母に関わる医療従事者のための 入門ブック Ver1

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 中村早希

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