最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
生活習慣は、プレコンセプションケアの中でも非常に重要なテーマです。アルコール、喫煙、生活環境などの生活習慣について、見直していきましょう。
お酒・(ある種の)薬・有害な生活環境は、妊娠に悪影響を及ぼす可能性があります
アルコール、ある種の薬やサプリ、有害環境は、妊娠を計画する時から避ける必要があります。赤ちゃんの臓器を作るのに最も重要な時期は、妊娠4週〜12週頃ですが、一般的に、生理の遅れに気づいて妊娠を疑う頃は、妊娠4週以降になりがちです(妊娠週数は前回の月経日からの週数であるため)。そのため、妊娠に有害なものは妊活の時から避けるようにしましょう。
<妊娠へのリスクについて>
アルコール:流早産・低出生体重児・発達障害(学習障害・行動障害など)のリスクが上昇します。
薬・サプリ:催奇形性などの可能性が高いものもあるため、普段から使用している方は妊娠を考えた頃から医師に相談しましょう。
有害環境:放射線・殺虫剤・鉛・水銀汚染は流早産や胎児の発育に影響を及ぼす可能性があります。
喫煙は、赤ちゃんの発育や胎盤の機能に悪影響を及ぼします
妊娠中の喫煙は、赤ちゃんの早産、低出生体重児、口唇口蓋裂、乳児突然死症候群などのリスクを上昇させると言われています。また、常位胎盤早期剥離(妊娠中に胎盤が剥がれてしまう状態)という、母子ともに命の危険を伴う状態に陥るリスクも高くなります。
電子タバコや、ニコチンを含む他の商品も、妊娠中の使用は安全ではないと言われています。
このことから、妊娠中はタバコをやめましょう。出来れば、妊娠前からやめることが望ましいです。
適度な運動を心がけ、心身共に健康的な身体を目指しましょう
定期的な運動は、肥満の改善・体重増加予防や不安・抑うつの予防につながります。
肥満は、不妊の原因になることがあり、妊娠中も母体合併症(妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群など)、帝王切開率の増加につながります。
妊娠前の運動量としては、1日に1時間程度、少し息が上がるくらいの運動が理想的です(早歩き、水泳、衝撃の少ない有酸素運動など)。妊娠前に標準体重(BMI18.5以上25未満)を目指すようにしましょう。
痩せ過ぎも、赤ちゃんの低出生体重や将来の肥満や糖尿病の原因になるため過度なダイエットは避けましょう。
精神面を不安定な状態にさせないためにも、妊娠前から運動を慣習化させられるとよいですね。
このように、生活習慣を意識することはプレコンセプションケアの重要な要素です。普段の生活を変えることは大変ですが、将来の妊娠に役立つことなので、頑張る皆さんを応援しています。
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 尾市 有里)