やせるだけではなく、「食べること」が大事。正しい「産後ダイエット」

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

SNSやメディアでは、芸能人やインフルエンサーが、出産後数か月で元の体形に戻した、何キロやせたと目にすることがあります。出産後の女性にとって、体重をもとに戻したり、ボディーラインを矯正することは大きな興味の1つですが、ちょっと待ってください。リスクはないのでしょうか。

産後半年から1年かけて標準体重に

厚生労働省は、妊娠中の体重増加の目安を示していますが、妊娠前の体格指数(BMI)が25未満の「やせ型」と「普通」の人で10~15キロの体重増加を目安としています。

産後BMIが高いままだと、循環器系(心臓や血管など)の疾患にかかりやすくなったり、血糖値や血圧が上がるリスクが高くなります。

厚生労働省では、授乳しながら6ヶ月を目安に標準体重に戻す目標を提案しています。授乳しない方でも、6ヶ月から1年を目安にゆっくりと体重を落としていきましょう。

バランスよい食事を心がけて、タンパク質をしっかり摂取

授乳はエネルギーを消費しますので、おなかがすきます。赤ちゃんが飲む母乳の量や母乳に含まれるエネルギー量から計算した授乳による母親の平均エネルギー消費量は517kcalと言われています。産前と同様に食べていたら徐々に体重が減っていくといわれるのはこのためです。

6ヶ月~1年かけて体重を戻すためには、成人女性の1日の摂取カロリーである2000kcal前後(活動量や体格により個人差があります)から約150kcal減らすのが目安です。授乳中であれば、成人女性の一日の摂取カロリーである2000kcalに加えて約350kcal多くとればゆっくりと無理なく減量できるでしょう。

慣れない育児をしながらカロリーを意識するのはなかなか難しいですよね。重要なのは高たんぱく、低脂肪。昔の和食をイメージするとよいでしょう。忙しいときは、ゆで卵やチーズを補食にとると、良質なタンパク質がとれます。

授乳をしない場合は、産後の食事を非妊娠時の食事から1日約150kcal減らす程度でゆっくりと減量します。脂質の多い間食を控える、ご飯を半膳(ご飯100gは168kcalです)減らすなどしましょう。

運動は1ヶ月健診後から始めましょう

体重を減らすことを考えたとき、運動をしたいと思う方もおおいでしょう。しかし、産後すぐは体調が万全ではありませんし、昼夜問わずの赤ちゃんのお世話によって、身体面でも精神面でも疲れがたまります。少なくとも、悪露がおちつき、産後1ヶ月健診で産後の経過が良好、といわれるまではハードな運動は避けましょう。

1ヶ月健診が終わったあとは徐々に体を運動に慣らしていきましょう。妊娠中、安静にしなくてはいけなかった方は、筋力、体力ともに落ちていますので、ストレッチなど無理のない運動から始めるとよいでしょう。
産後すぐの急激なダイエットは、その後の長い人生を健康的に過ごすためにもおすすめできません。この時期はダイエットする、というよりも、健康的な生活習慣を身につける、といった意識で、食事や運動に気を付けるとよいでしょう。


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 白井有香)

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