最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
意図しない妊娠を避けたり、生理の症状を和らげてくれる、心強い味方である低用量ピル。産後(しばらく)妊娠を避けたい方、元々生理が重たい方など、産後いつからピルを開始できるのでしょうか?
授乳をしている方は、産後半年以降に服用再開が可能です
産後に低用量ピルを服用する際の最大の問題は、下肢静脈血栓症(下肢の静脈の血管内に血の塊ができる病気)です。血栓症のリスクを考えて、授乳している方がピルを開始するのは出産して半年経ってからにすることが、ガイドライン等で推奨されています。
ピルを飲みながら授乳することでの赤ちゃんへの影響もご心配だと思いますが、明らかな影響はないという報告が多く、一般的にはピルを飲みながら授乳しても問題ないと考えられています。
授乳をしていない方は、産後3〜6週間以降に服用を再開できます
授乳をしていない方は、授乳をしている方に比べて血栓症のリスクは低いとされています。そのため、より早く服用を開始できます。
血栓症のリスク因子(帝王切開でのお産や出産時の出血が多いなど)が無い方は産後3週間以降、リスク因子があっても産後6週間以降から開始ができます。
低用量ピル以外にもミレーナという選択肢があります
低用量ピルが何らかの理由で使えなかったり、産後もっと早い時期から妊娠を避けたい・重たい生理の症状を抑えたい方は、ミレーナという子宮内避妊具を使用することもできます。(ただしミレーナは避妊目的の器具ではなく、重い生理痛や子宮内膜症への治療目的で処方されます)
ミレーナの詳細は別の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
ミレーナが使えるようになるのは子宮が妊娠前の状態に戻ってからとされていますが、時期は厳密に決まっていません。産後6週間以降、3か月以降、最初の生理が来てからなど病院によって異なりますので、かかりつけの産婦人科医で相談してみてください。
いかがでしたでしょうか。
産後は育児も大変な時期ですので、毎月の重たい生理で苦しんだり、望んでいない妊娠の心配をしないためにも、ぜひ産婦人科でご相談頂ければと思います。
*参考文献
・Medical eligibility criteria for contraceptive use – 5th ed.
ちょっとでも心当たりがあるなと思ったら、産婦人科オンラインの医師・助産師に是非ご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(産婦人科医 中原 一成)