不正性器出血の放置は危険です〜原因、受診の目安、検査方法について〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

不正性器出血とは、月経以外の性器出血のことです。色は、真っ赤やピンク色であったり、赤黒かったり、時には茶色いおりものだったりもします。
産婦人科オンラインの中でも、不正性器出血に関するご相談は数多く寄せられます。今回はこの不正性器出血の原因と受診の目安、検査方法についてまとめてみました。

不正性器出血の原因で一番多いのは女性ホルモンの変動です

不正性器出血はどうして起こるのでしょうか?考えられる原因は本当にさまざまで、具体的には以下のようなものがあります。

・腟や子宮頸管の炎症:細菌性腟炎、子宮腟部びらん、クラミジア感染、ヘルペス感染など
・腫瘍(悪性・良性):子宮頸癌、子宮体癌、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮頸管ポリープなど
・女性ホルモンの変動
・排卵時出血
・性交時の出血
・妊娠の影響:切迫流産や異所性妊娠
・全身の出血性疾患:血小板減少症、凝固因子異常など
・薬剤の影響:低用量ピルやその他ホルモン剤、抗凝固薬など

不正性器出血の中でも特に多くみられる原因は、女性ホルモンの変動です。これは若い女性(ホルモンの分泌調整が未熟)や閉経前の女性(ホルモンの分泌が不安定になる)などで起こりやすいと言われています。

他にも、心身のストレスや生活環境の変化、体重の増減などによっても女性ホルモンは変動しやすく、それらが原因で月経不順や不正性器出血を起こすこともあります。また、排卵期には女性ホルモンの影響によって少量の出血を起こす人もいます。

出血量が多い、激しい腹痛を認める、などの場合はすぐに受診を

では不正性器出血を認めた場合に、病院を受診すべき目安とは何でしょうか?
原因がいずれの場合であったとしても、次のようなときは重度の貧血になっている、もしくはなる可能性があるため、救急外来、または産婦人科をすぐ受診するようにしましょう。

・出血量が多く、顔色が悪い、意識が遠のく、ふらふらするなどの症状がある
・激しい腹痛がある
・出血量が多く強い腹痛もあり、妊娠している、もしくはその可能性がある

上記以外でも、出血の量は多くはないが1週間以上続いている、一回だけの出血でなく繰り返し起こっている場合には、緊急ではないですが、日中の時間に産婦人科を受診してしっかり出血の原因を調べる必要があります。

不正性器出血の原因を調べるためには、内診や超音波検査、子宮頸癌・体癌検査などを行います

もしも不正性器出血で産婦人科を受診した場合、どのような検査をするのでしょうか?

まずは出血の部位や原因を特定するために、問診、内診台での診察や超音波の検査を行います。また、婦人科健診をしばらく受けておらず子宮頸癌の可能性も否定できない方、年齢的に子宮体癌が疑われる方(40〜50歳以上)などに対しては、子宮頸癌や体癌の検査を行うこともあります。腟内の炎症が疑われる場合には、おりものの検査や感染症の検査を行います。

上記のような検査で原因が特定できれば、それぞれの原因に合った治療を行うことになります。症状から貧血を疑う場合には血液検査を行い、必要に応じて鉄剤の投与など貧血の治療も同時に進めます。
若い女性のホルモン変動による不正性器出血や月経不順には、低用量ピルを検討することも多いです。

参考ジャーナル:低用量経口避妊薬(ピル)ってどういうもの?

いかがでしたでしょうか。
不正性器出血を認めたときにはまず、出血の量やお腹の痛みに注意して、すぐに受診が必要かどうかを判断する必要があります。また普段から婦人科検診を定期的に受けて、不正性器出血の原因となるような子宮筋腫、頸癌や体癌などの異常がないかを知っておくことも非常に大切です。

*参考文献
日本産科婦人科学会. 産科・婦人科の病気. 不正出血.
ACOG. FAQ. Abnormal Uterine Bleeding.


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 神保 覚子

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