最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
妊娠をきっかけに運動を始めたいと思っている方はいらっしゃいませんか?特に今は外出を自粛している方も多く、運動不足やストレス解消法で悩むことも多いかと思います。妊娠中から始める運動方法はいくつかありますが、今回はその中の1つである『マタニティヨガ』についてご紹介したいと思います。
妊娠中のマイナートラブルの改善や産後の身体のケアにも役立ちます
ヨガは産婦人科領域だけでなく、国内や世界各国の先進国で補完・代替医療として用いられており、海外では一部保険適用されている国もあります。
その中でもマタニティヨガは妊娠や出産に伴う様々な不快症状の改善に効果があることがわかってきています。
たとえば、ヨガの要である「呼吸」ですが、呼吸を意識的にコントロールできるようになると、不安や恐怖などの感情の変化をコントロールできたり、経腟分娩では陣痛の痛みを「のがす」ことに役立ち、自分自身の産む力と赤ちゃんの出てくる力を最大限に発揮できる可能性があります。
また、ヨガで行うポーズは妊娠や出産で最も緩みやすい骨盤底筋の強化などに役立ち、尿漏れトラブルを予防・改善につながります。
その他にも、子宮の増大に伴う姿勢の変化で緊張しやすい筋肉や関節を柔軟にし、体重を支えるための筋力を強化することで、腰痛の改善に効果があることがわかっています。さらにヨガで行う「瞑想」は、妊娠中のストレスの軽減、産後に起きやすいうつ症状の改善にも効果的であるといわれています。
ヨガが安産によいとされる理由は、自分の身体と心、そして赤ちゃんと向き合う時間そのものにあります
安産といっても、それぞれ思い描く出産や方法によって、その言葉の持つ意味は人によって異なると思います。しかし、どんな出産方法であっても、出産に向けて何かを取り組んだり、赤ちゃんのことを考える時間は出産だけでなく、その後の育児に向けてとても大切なことかと思います。
また、「ヨガに興味はあるけれど、身体が硬いからできない」とお考えの方も少なくないかと思いますが、そもそもヨガではポーズをとることだけが目的ではありません。
マタニティヨガで大切なのは
・心地よいと感じること
・周りと比較しないこと
・今のありのままの自分を受け入れ、充たされていることに気づくこと
・赤ちゃんと向き合う時間をつくること
です。
ヨガを通して、妊娠中に起こる身体や心の変化、そして赤ちゃんの成長を繊細に感じながら、マタニティ期間を楽しむことが大切です。
ヨガを開始する時期は医師に相談しましょう
ヨガは、一般的には流産のリスクが減少する安定期(16週以降)から始めるといいでしょう。
妊娠する前からヨガの習慣がある方は、体調の変化をみながら初期から続けても問題ないことが多いです。ただし、避けた方がよいポーズ、また妊娠経過の状態によってはできない場合もありますので、担当医に確認することが大切です。
妊娠や出産はそもそも病気ではありませんが、妊娠や出産に伴い、女性の身体と心は著しく変化し、時に不調を感じることがあります。
ヨガはその変化と上手につき合うことができる一つのメソッドとして考えてみてください。ぜひ妊娠をきっかけにヨガを日常のライフスタイルとして取り入れてみませんか?
妊娠中のヨガ以外の運動については、こちらもご参照ください。
*参考文献
・川西 康之, Sharon J. B. HANLEY, 他:妊娠中のヨガ(マタニティ・ヨガ)の有効性に関する文献的考察(システマティック・レビュー)、日本公衆衛生雑誌、62−5、221−231、2015
・Pamela Van der Riet,Lyn Francis,Angela Rees:Exploring the impacts of mindfulness and yoga upon childbirth outcomes and maternal health: an integrative review,Scandinavian journal of Caring Sciences,03 December 2019
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。
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(助産師 齊藤麻木)