妊娠中の運動について~安産に向けて自宅でできる簡単エクササイズ~

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

妊娠中は、無理のない範囲で継続的に運動することが推奨されています。どのような運動が効果的なんだろう?と気になる方も多いのではないでしょうか。実は、妊娠中は安産にむけて体づくりを行うチャンスです。

今回は、元々運動習慣がない方でも自宅で無理なく行えて、妊娠中のマイナートラブル改善、安産に繋がるエクササイズをご紹介したいと思います。

※本記事で紹介する内容は、妊娠12週以降、妊娠経過に異常がない方が対象です。

安産に向けて ①お産の体勢が取りやすくなる股関節のストレッチ

出産の時は、赤ちゃんが通りやすいよう、股関節を広げたお産の体勢を取ることが多いです。股関節を柔らかくすることで、お産の体勢が取りやすくなります。

<方法>
1)横向きに寝た姿勢になり、両膝を曲げた状態でやや前方に出し、バランスを取ります。
2)上側の足を上げ、太ももの裏に手を添え、膝から下はリラックスさせます。
3)肩の方に膝を引き寄せ、股関節まわりが心地よく伸びる位置で2~3呼吸分キープします。
4)足を元の位置にゆっくり戻します。
5)反対向きになり1)~4)を繰り返します。
左右どちらも行うようにしましょう。

※恥骨が痛む方は無理をしないようにしてください。

安産にむけて ②産む力を高める腹筋エクササイズ

赤ちゃんを産む力を「娩出力」と言います。娩出力は陣痛と腹圧(いきむ際に下腹部へかける力)からなり、腹筋群を鍛えることで腹圧を高める(=娩出力を高める)ことができます。つまり、お産がスムーズに進みやすくなることが期待できます。

ここでは妊婦さんができる腹筋トレーニングについてお伝えします。(※37週以前でお腹の張りがある時や、特に切迫早産などの合併症を指摘されている場合は行わないようにしましょう)

<方法>
1)お腹に手をあて、お腹が張っていないか確かめます。
2)膝を立てて座り、足を肩幅より少し広めに開きます。座骨などに痛みがある場合は、クッションやタオルを挟むようにしましょう。足裏は床につけましょう。
3)両手を太ももの裏側に置き、背筋を伸ばします。
4)息を吐きながら、ゆっくりと腰~背中を丸めるように上半身を後ろに下げていき、お腹をのぞきこむようにします。
5)息を吸いながら、ゆっくり元の体勢に戻します。
6)無理のない範囲で4)~5)を繰り返します。

妊娠中のマイナートラブルに効果あり~症状別エクササイズ~

【1】腰痛 
腰~背中を動かすことで筋肉の緊張をほぐし、腰痛緩和に繋がります。

<方法>
1)四つん這いの姿勢をとり、足の付け根の下に膝(足幅は腰幅)、肩の下に手(手幅は肩幅)を置きます。
2)息を吐きながら、腰→胸→首の順に背骨を動かしお腹をのぞき込むようにして背中を丸めます。
3)息を吸いながら、同じ順番(腰→胸→首)で背中を反らします。
4)2)~3)を自身の呼吸のペースに合わせて繰り返します。

【2】便秘
骨盤を動かすことで腸の動きを促し、便秘改善に繋がります。

<方法>
1)立った状態で足を肩幅に開き、つま先を正面に向け膝を軽く曲げ、背筋を伸ばし手は腰にあてます。
2)楽に呼吸をしながら、上半身はそのままで、骨盤のみを左右に大きくゆっくり動かします。
3)骨盤を前からうしろへぐるっと大きな円を描くようにし回します。逆方向からも回してみましょう。
4)心地よく感じる範囲で2)~3)を繰り返します。

不調を感じたらお休みし、無理のない範囲で行ってみてくださいね。

*参考文献
・日本臨床スポーツ医学会産婦人科部会:周産期医学,34,増刊号:404,2004 
・日本マタニティフィットネス協会 マタニティビクステキストブック48,61,66,81,2015
・医学書院 助産診断・技術学Ⅱ(1)妊娠期 212-213,2011

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 米澤友里恵

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