最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
赤ちゃんに授乳をしていると、以前のようにおっぱいが張らなくなったことで、母乳が出なくなったのではないかと心配されるお母様が多いです。今回は、授乳期間中の一般的なおっぱいの変化について説明します。
妊娠中期〜産後2日目くらいまでは、母乳分泌の準備期間です
妊娠中期〜産後2日目くらいまでは、乳腺が母乳を分泌できるように準備する時期です。
授乳や搾乳といった乳頭への刺激によって乳汁が作られて分泌されます。
この時期に分泌される透明の母乳を初乳(しょにゅう)と言い、感染予防のための栄養分が多く含まれると言われています。
母乳を分泌するための準備として乳腺が発達するので、妊娠前よりも乳房のボリュームが大きくなったと感じる方はいらっしゃいますが、張りはまだありません。
産後3日目くらい〜産後9日目くらいまでは、母乳の分泌量が急に増える時期です
産後3日目くらい〜産後9日目くらいまでは、赤ちゃんが生まれて胎盤が出たことによって体内のホルモンバランスが一気に変わり、身体は本格的に母乳を作り出します。
このように、産後3日目前後から母乳が一気に作られるため、おっぱいが急に張り出す方が多い時期です。しかし、おっぱいが張り出す時期や張る程度には個人差もあります。なかにはそれほど張らない方や、もう少し後になっておっぱいが張り出す方もいらっしゃいます。
おっぱいの張りが強く痛みがあったり辛い場合、まずは授乳や搾乳を実施しましょう。おっぱいの張りが少し落ち着きます。
また、授乳と授乳の間に心地良い程度で冷やすことで、少し楽に感じる方もいらっしゃいます。しかしあくまでも対症療法であり、根本解決とはなりません。また冷やし過ぎや授乳直前に冷やす事は母乳の分泌が悪くなる要因にもなり得るので、注意が必要です。
この時期は、身体が母乳を一気にたくさん作る時期なので、授乳や搾乳によって張りが少し軽減しても、完全に張りの自覚がなくなることは少ないです。
おっぱいの張りが完全に取れたとしても、授乳や搾乳といった刺激の分だけ母乳がまた作られるので、またすぐに同じくらい、もしくは今まで以上に張ってきます。おっぱいの張りが少し落ち着くくらいで十分です。
それ以降は、徐々に乳汁分泌が安定してきます
産後10日目くらい〜産後1ヶ月くらいまでは、授乳や搾乳→おっぱいに溜まった母乳が外に出る→張りが少し楽になる→出た分だけ母乳が作られる→時間が経つと張る、という流れになります。
それが産後1ヶ月以降は、徐々に授乳や搾乳の開始と同時に母乳が作られるようになります。
授乳や搾乳時に必要な分だけ母乳が作られて、それが外に出るという流れになるので、おっぱいに母乳が溜まる事は少なくなってきます。
つまり、以前ほどおっぱいの張りを感じる事はなくなってきます。
おっぱいの張りがなくなると、母乳が出なくなったのではないか、作られなくなったのではないかと心配になるかもしれません。しかし、この時期に徐々に張らなくなるのは正常なことで、むしろ母乳の分泌が安定してきたことを意味しています。
今回はおっぱいの一般的な変化について記載しました。
正しい知識と一般的なメカニズムを知ることで、少しでも多くのお母様の授乳に対する不安の軽減につながれば幸いです。
母乳が足りているかどうかは、こちらの記事も参考にして下さい。
「母乳育児Q&A(2)母乳が足りているか不安!母乳不足の考え方」
*参考文献
・水野克己、水野紀子著 母乳育児支援講座 南山堂 2011年.
さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。
産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。
(助産師 崔 賀英)