飲酒は精子にもNG? 男性も知っておきたい妊活中の“お酒との上手な付き合い方”

公開日: 2025年9月9日

妊活を始めると、まず気になるのが生活習慣。中でも「お酒はどこまでOK?」という質問はとても多いです。

最新の研究では、男性の飲酒量が精子の数や運動率に影響することが分かってきました。とはいえ完全に飲酒ゼロにするというのはハードルが高いもの。

今回は妊活中の男性に向けて、精子を守るための賢い飲酒ルールを3つにまとめました。

多量飲酒で精子の量が減る

「たくさん飲むほど精子はダメージを受ける」というのは信頼のおける研究で報告された結論です。

目安は純アルコール20g(ビール中瓶1本相当・日本酒1合相当)/日。これを超えると精液量やテストステロン値が下がりやすくなります。

テストステロンは精巣内で精子を成熟させるために必須のホルモンです。

テストステロン値が下がると精子の数や精子の運動率が下がり、受精しにくくなります。逆に、週1〜2杯程度では大きな悪影響は示されていませんが、「ゼロに近いほど安全」というのが世界的な共通認識です。

妊活中は“3か月禁酒”が最も安全

精子がアルコールの影響を受けると、受精後の胎児の発育に影響を及ぼす可能性があるといわれています。

精子が作られて射精されるまでには約74日かかります。このサイクルを丸ごとアルコールフリーで乗り切れば、新しく作られる精子をしっかり守ることができます。

仕事の付き合いなどで完全禁酒が難しい人は、1日ビール1杯(純アルコール10g)以下+週2日以上の休肝日を設定するなど、減酒の工夫をしてみましょう。

飲酒量だけでなく“酸化ストレス対策”もセットに

アルコールが体内で分解されると活性酸素が増え、精子DNAが傷つきやすくなります。

このダメージを招く状態を「酸化ストレス」と呼びます。酸化ストレスとは身体のサビのようなもので、このサビが増えると精子の受精能力が低下し、流産リスクも上がると報告されています。

酸化ストレス対策としては、禁酒・減酒に加え、抗酸化作用のあるビタミンC・E、オメガ3脂肪酸を含む食事を意識し、禁煙、十分に睡眠をとるといった基本の生活習慣も整えましょう。

パートナーと一緒に健康的なライフスタイルを共有することが、妊娠率アップへの近道です。

重度飲酒(アルコール換算20g/日超)は精子の質を確実に下げます。妊活中は“3か月禁酒”が最もシンプルで確実。難しい場合でも週合計50g以下+休肝日を目安に、お酒と上手につき合いましょう。

<参考文献>
・小宮顕ら(2020)男性のプレコンセプションケア,産科と婦人科,8,(81), 949-953
厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドライン 2024.(参照 2025-08-22)

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインでご相談ください。

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