最終更新日: 2024年3月27日 by 産婦人科オンライン
幼児期は、自律性が芽生える時期です。なんでも自分でやりたいと主張したり、大人の真似をしたがります。また、理屈が通じず、”自分のやりたいことをやりたい時にやる”という特徴があります。そんな幼児期の食事は、食べない・偏食・遊び食べなどなど、悩みがつきないのではないでしょうか。今回は、代表的な幼児食のお悩み3選の解決案を提案していきたいと思います。
お悩み1:好き嫌いが多い・偏食がひどい
幼児期は成長とともに味覚や嗅覚が発達し、食感もわかるようになってきます。離乳食は何でもよく食べていたのに、幼児期になると選り好みをするようになったなんてことがよく起こります。これは食べ物の味や食感が分かり、好みが出てきた成長の証です。
好き嫌いには、食べにくさ、味付けが好みでない、飽きてしまったなど、さまざまな要因があります。そんな時の対策をご紹介します。
☆食材の切り方を変える☆
乳歯が生えそろう3歳ごろまでは、噛む力がとても弱いです。少しの力で噛みちぎれるような切り方の工夫や、筋など食べにくい部分を少し取り除いてあげるだけでも、食べやすくなります。逆に、薄い食材(レタスやキャベツといった葉物野菜など)は巻いたり重ねたりすることで、噛み切りやすくなることもあります。
☆子どもの好みのかたさにあわせてみる☆
歯応えのある食感が好きな子もいれば、柔らかい食感が好きな子もいます。食材によってお子様の好きな固さを探ってみましょう。
☆風味をプラスしてみる☆
カレーやケチャップ、海苔などお子様の好きな風味をプラスして苦手な食材に挑戦してみるのもいいでしょう。また、ハンバーグの中に一緒に入れるなど、他の食材に混ぜるのもおすすめです。
☆子どもが喜ぶ盛り付けにする☆
嫌いな食材でも、目で見て楽しい気持ちになると、すんなり食べられることがあります。お子様の好きなキャラクターの食器などで楽しい気持ちになれる工夫をしてみましょう。また、大人と一緒に料理を作ることが、食欲につながることもあります(型抜きや混ぜるなどの簡単な作業でOKです。)
お悩み2:遊び食べ
個人差がありますが、遊び食べが生じやすいのはおおよそ3歳になるくらいまでと言われています。子どもは、食べ物で遊ぶことがいけないことだと知らないので、ただ「だめ」というだけでは伝わりません。「ご飯はこうやって食べるんだよ」と大人がお手本を示してあげることが大切です。また、子どもが遊び食べをやめることができた時は、「上手に食べられたね。私も嬉しいな。」などと肯定的な表現をしてあげるといいですよ。
さらに、子どもは長く集中することができません。遊び食べかと思っていたら、実は満腹だったなんてことも。食事は15分から30分を目安にしましょう。
食事に集中できる環境づくりも大切です。食具や椅子は適切か、目に入る場所におもちゃなどがないか確認してみてください。
お悩み3:食べすぎる・少食
幼児期は、満腹中枢が発達途上のため食べ過ぎてしまうことがよくあります。
4~5歳ごろになると落ち着くことが多いので、それまでは様子をみましょう。4~5歳以降になっても変化がない場合は、たくさん噛むことを心がけてください。噛むことによって、満腹中枢が満たされ、食べ過ぎの予防に繋がります。
少食の場合は、その子なりに身長体重が増えて元気に成長していれば大丈夫です。食べ切れる量を盛り付けて、完食する喜びを体験することも大切かもしれません。
幼児期の食事では、色々な工夫をしても食べてくれないことがあります。味覚は成長とともに変わりますので、食べられないと思っていたけれど、あるとき食べてみたら食べられたなんてこともあります。無理強いするのではなく、食べられるものを楽しく食べるという気持ちでいきましょう。「食事は楽しい」ということを学ぶ大切な時期です。育児書通り・お友達と一緒じゃなくて大丈夫!家族みんなで食べる幸せを作ってあげてください。
幼児食の概要については、こちらの記事も参考になさってください。
*参考文献
国立保健医療科学院. 幼児期の健やかな発育のための 栄養・食生活支援ガイド 【確定版】 令和 4 年 3 月
東京都教育庁. 乳幼児期からの子供教育支援プロジェクト. 教えて、先生!乳幼児期からの食
小池 澄子. いちばん優しいきほんの幼児食. 成美堂出版. 2010年.
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(助産師 小堀千辺)