搾乳ってどんなときに必要?どうやって搾ればいい?〜効果的な搾乳方法について〜

最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン

搾乳(さくにゅう)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?読んで字のごとく「乳を搾る(しぼる)」ことですが、いつ、どのようなときに搾乳をした方がいいのか、お悩みの方もいらっしゃるかもしれません。今回は、搾乳のタイミングや方法についてお伝えします。

搾乳が必要なタイミングは、直接授乳ができないとき、乳頭痛が強いとき、乳腺炎で乳首から膿が出ているときなどです

搾乳が必要となるタイミングとしては、直接授乳ができないとき、乳頭痛が強いとき、乳腺炎で乳管口(乳首)から膿が出ているときなどが挙げられます。

・直接授乳ができないとき

赤ちゃんが入院している場合や、お母様が長時間外出する場合などに搾乳を行うことがあります。母乳は乳房内から排出された分だけ新たに作られる仕組みになっているので、直接授乳ができない時も定期的に搾乳する(乳房内の母乳を排出する)ことによって、母乳分泌量の維持が期待できるからです。

・乳頭痛が強いとき

乳首や乳輪に傷ができている場合や、授乳時の乳頭痛が強い場合には、搾乳で対応することがあります。乳首の傷でお困りのときは、こちらの記事も参考になさってください。

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・乳腺炎で乳首から膿が出ているとき

乳腺炎の基本的な対処法は、乳房から乳汁を外に出すことなので、授乳を継続することが大切です。しかし、乳首から膿が出ている場合や、乳腺炎で潰瘍(かいよう)ができて切開した後などは、赤ちゃんが膿に触れないようにする必要があります。乳腺炎については、こちらの記事も参考になさってください。

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他にも、赤ちゃんがうまく吸いつけず、直接授乳で乳汁を十分に飲みとることができないときにも、分泌の維持や乳房の張りや痛みを和らげるために、搾乳が効果的な場合があります。

搾乳方法は、手搾りでも搾乳器の使用でもOKです

搾乳方法には、手で搾る方法と、搾乳器を使用する方法があります。搾乳する期間や搾乳量に応じてどちらかを選ぶことが多いですが、搾乳器を使用する場合でも、その前後で手搾りをして、搾り残しを減らすことが大切です。

<手搾りの手順>

1.搾乳前に手をよく洗う。搾乳を貯めたい場合は、哺乳瓶などの清潔な容器を準備する。

2.手のひらを緩め、親指と人差し指の間を開き、それぞれの指先を乳頭の中心から約2 ~ 3cm離れたところに置く。

3.親指と人差し指以外の3本の指で、乳房を軽く持ち上げるように支えたり、肋骨に手を固定するように添える。

4.赤ちゃんが母乳を飲むときの口の動きに合わせ、1秒間に1〜2回、リズミカルに搾る。

搾る量や時間に決まりはありません。片側5分毎、10分毎、など時間を決めて搾ったり、乳汁が勢いよく出なくなったら終える、一定量とれたら終えるなど、乳房の状態や体調に合わせて調節していきましょう。たくさん搾るとその分張りが強くなっていくので、乳房が張って辛い時の搾乳では、搾りすぎにご注意ください。

搾乳の保存方法については、こちらの記事を参考になさってください。

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乳房の張りや痛みが強い場合は、症状が軽い方から搾ったり、ストレッチなどを行いましょう

乳房の張りや痛みが強い場合、搾っても乳汁が出てこないことがあります。そのような場合は、左右の乳房のうち症状が軽い側から搾りはじめると、症状が強い側も搾りやすくなることがあります。

また、背中や肩を温めたり、ストレッチをすることで、搾りやすくなる場合もあります。ストレッチなどはこちらの記事を参考に、ぜひお試しください。

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直接授乳ができないとき、乳頭痛が強いとき、乳腺炎で乳首から膿が出ているときには、搾乳も検討してみてください。搾る量や時間に決まりはありませんので、その時の状態に合わせて調整なさってくださいね。

<参考文献>

公益社団法人日本助産師会、乳腺炎ケアガイドライン2020、第2版

さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの助産師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後の不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(助産師 中村早希

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