最終更新日: 2024年2月15日 by 産婦人科オンライン
保育園に預けているとき、長時間のお出かけや乳頭に傷ができて直接吸わせられないときなどでも、母乳を飲ませる方法として搾母乳があります。搾母乳の正しい保管方法を知ることで、どんなときでも新鮮な母乳を飲ませてあげることができ、赤ちゃんもお母さんも嬉しいですよね。今回は、搾母乳の正しい保存方法と注意点についてお伝えします。
搾った母乳は常温保存、冷蔵保存、冷凍保存ができます
母乳は栄養たっぷりの生もののため、保管方法を間違えると細菌が繁殖してしまいます。搾母乳(搾った母乳)の保管方法の一例をご紹介致します。
搾母乳は、健康な赤ちゃんに与える場合であれば、搾って4時間以内は常温で保存することができます。常温(16~25℃)では心配という方もいらっしゃるかと思いますが、母乳に含まれる成分が常温での母乳の劣化を防いでくれるので心配いりません。常温で4時間以上の保管をする場合には、母乳の衛生面から考えて、冷蔵庫または冷凍庫で保管しましょう。
冷蔵・冷凍保管の場合には、母乳を保存する専用パックの説明書を参考に、保存方法や保存期間を確認しましょう。また、家庭の冷蔵庫では、頻繁な扉の開閉により温度が保たれにくいので、冷蔵庫・冷凍庫の奥側で保管するようにしましょう。
母乳の成分が壊れないように、正しい解凍方法を守りましょう
保存している搾母乳をあげるときは、安全性に気を付ける必要があります。
①正しい解凍方法を守りましょう。
上記の表に示した方法で、赤ちゃんが飲むのに適した温度に戻しましょう。早くあげたいから、泣いているからといって、電子レンジを使ったり、熱湯で温めたり解凍するのはやめましょう。母乳の成分が壊れてしまいます。
②ミルクと搾母乳は混ぜないように。
ミルクもあげるときには、搾母乳を混ぜずに別々にあげましょう。ミルクと母乳を混ぜることで成分が変わってしまうことを防ぐためです。
③搾乳した順に使いましょう。
保存している容器やパックに搾乳日時を書いたラベルを貼るなどして、日付が古いものから使用するようにしましょう。
④再冷蔵、再冷凍はできません。
一度解凍したり、温めた母乳は再冷蔵・冷凍することができません。飲み残した搾母乳は破棄する必要があるので、一度に使いきれる量(赤ちゃんが飲み切れる量)ずつ保存するとよいでしょう。
⑤低温状態が保たれるように持ち運びましょう。
冷蔵・冷凍された搾母乳を持ち運ぶときには保冷材や保冷バックを使用し、低温を保てるよう十分に気を付けましょう。
搾母乳の保管方法は赤ちゃんがいる病院や保育園に確認しましょう
施設によっては、搾母乳の管理方法・届け方などが厳密に決められていることもあります。特に、NICUや小児科病棟に入院中の赤ちゃんの場合には、その施設で定められた決まりがあります。施設側は赤ちゃんの大切な栄養源である搾母乳の衛生面をより気を付けています。また、母乳の分泌量、赤ちゃんの飲み具合によってもどのくらいの量を一度に保存したらよいかも変わってきますので、それぞれに合った方法を相談しながら見つけられるといいですね。
何らかの理由で直接母乳をあげられないときのために、搾母乳を冷凍しておくと安心です。母乳をできるだけ新鮮な状態で、赤ちゃんが安全に飲むことができるように、保存方法や解凍には十分気を付けてくださいね。
*参考文献*
・母乳の保存、冷凍、解凍方法 メデラ
・農林水産省 赤ちゃんを守るために
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(助産師 丸山美野)