妊婦さんへの新型コロナウイルス対策 〜海外と日本とで、どんな違いがあるの?〜

新型コロナウイルスの影響で、妊婦健診やお産に影響が出ている方も多いと思います。海外ではどのように対応しているのか、イギリスとアメリカを例に挙げ、日本とどの点が異なり、どの点が共通しているのか、妊婦健診や立会い出産、帝王切開の必要性などについて比較してみました。(2021年2月5日に一部内容を更新しました)

イギリスにおける妊婦さんへの対応

イギリスでは明確に、妊婦さんを新型コロナウイルスの影響を受けやすい「中等度リスク」にグループ分けしています。
今までのところ妊婦さんが新型コロナウイルスに感染しやすい、重症化しやすい、などという事実は報告されていませんが、一般的に妊娠中は感染症に対する反応が変化しやすいため、一般の人よりは重症化リスクの高いグループに位置付けられています。

妊婦健診に関しては通常通り定期の妊婦健診を継続しており、立会い出産も可能としています。感染が判明した場合のお産方法に関しては、必ずしも帝王切開が必要なわけではないとしており、症状や分娩状況などから総合的に判断されるとしています。

アメリカにおける妊婦さんへの対応

アメリカは、妊娠中は新型コロナウイルス感染症が重症化しやすく、早産のリスクが高い可能性があるとしていますが、死亡率は特に変わらないとしています。

妊婦健診に関しては、かかりつけの医療機関へ事前に電話し、定期妊婦健診の延期やキャンセル、遠隔診療への変更なども考慮するよう呼びかけています。立会い出産に関しては施設ごとに対応が異なるようです。
お産の方法に関しては、従来通りの判断基準で帝王切開をするかどうかを決めるとし、新型コロナウイルス感染の有無は関係ないとしています。

英米の対応と日本の対応の違いと共通点

イギリスは、現時点で明確な証拠はないものの、妊娠中は感染症に対する反応が変化しやすいため一般の人よりリスクが高いと考えており、アメリカは国内データの結果から妊娠中はリスクが高いと考えています。日本は、相対的にみてイギリスと似ており、一般的に妊娠中はインフルエンザなどのように呼吸器系へのウイルス感染は重症化しやすいため、リスクが高いと捉えています。いずれの国も、妊婦さんに対してより一層感染対策を心がけるよう注意喚起している点は共通しています。

また、日本はイギリスと異なり、立会い出産を制限している施設が多く、里帰り出産も避けるよう呼びかけられています。お産の方法については、必ずしも帝王切開が必要なわけではないという点は同じですが、感染拡大防止のため、施設によっては帝王切開になることもやむを得ないという意見が多い印象です。

全体的にみて日本の対応は、より安全な策を講じているように見受けられます。しかし、どの国にも共通して言えることは、わかっていることが少ない中で手洗い励行や自宅待機など、徹底した感染予防を推奨していることです。

多少の違いはありますが、特別変わった対応をしている国はありません。この状況下では共通して、手指衛生や社会的・身体的距離を取ることを勧めています。お母さんが元気な赤ちゃんを産めるよう、まずは個人レベルでの感染対策を行うことがどこの国でもとても重要視されています。

*参考文献
Pregnancy and coronavirus. (NHS)
COVID-19. (ACOG)
Pregnancy, Breastfeeding, and Caring for Newborns(CDC)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 ~妊婦や小児に関すること妊婦の方々へ~(厚生労働省)


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(医師 赤羽宏基