妊娠中の新型コロナウイルス感染について〜感染の広がり方や妊娠中の影響とは〜

新型コロナウイルスにより世界中が混乱していますが、特に妊娠中の方にとっては不安の大きい日々だと思います。
ここでは感染の広がり方(飛沫感染や接触感染)に加え、妊婦さんご自身やお腹の中の赤ちゃんへの影響を、現在までにわかっているデータや報告を元に解説します。

新型コロナウイルスとは

これまでに、人に感染する「コロナウイルス」は7種類見つかっており、その中の一つが、昨年12月以降に問題となっている「新型コロナウイルス(SARS-CoV2/COVID-19)」です。
過去に世界中で拡大したSARS(2002年)やMERS(2012年)といったウイルス感染症の原因も、コロナウイルスでした。

2種類の感染経路に注意しましょう

現時点で感染経路は、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられています。

①飛沫感染:感染者から排出された飛沫(くしゃみ、咳、つば など)と一緒にウイルスが放出され、未感染者がそのウイルスを口や鼻から吸い込んで感染します。
※感染を注意すべき場面:屋内などで、お互いの距離が十分に確保できない状況、いわゆる3密の状態で一定時間を過ごすとき

②接触感染:感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、自らの手で周りの物に触れるとウイルスが付きます。未感染者がその部分に触れるとウイルスが手に付着し、それが体内に入ることで、感染者に直接触れなくても感染します。
※感染場所の例:電車やバスのつり革、ドアノブ、エスカレーターの手すり、スイッチなど

2020年4月1日現在、食品(生で食べる野菜・果実や鮮魚介類を含む)を介して新型コロナウイルス感染症に感染したとされる事例は報告されていません。ただし、WHOから一般的な注意として「生あるいは加熱不十分な動物の肉・肉製品の消費を避けること、それらの取り扱い・調理の際には注意すること」が出されています。

妊娠中に新型コロナウイルスに感染したらどうなるの?

5月上旬までの報告では妊娠後期に新型コロナウイルスに感染したとしても、経過や重症度は妊娠していない方と大きく変わらないとされています。
一方で、肺炎にかかった場合は妊娠していない方に比べて呼吸状態が重症化する可能性が指摘されています。妊娠中は子宮が大きくなっている影響で横隔膜(肺の下にある板状の筋肉)が持ち上がっているためです。

これまで、妊娠中で新型コロナウイルスに感染した方の症状は、妊娠していない方と同様に発熱、咳、呼吸困難などだったと報告されています。
お産の方法は、妊婦さん自身の症状が重症でなければ経腟分娩も可能だと言われていますが、実際にお産する施設の状況によって異なる場合があります。

なお、帰省分娩や分娩立会いに関してはこちらをご参照ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ 第9版ver.2(日本産婦人科感染症学会)

赤ちゃんへの影響は?

新型コロナウイルスが発見されてからまだ間もないため、感染した妊婦さんから産まれた赤ちゃんへの影響については十分な情報がない状況です。これまでの報告では、新型コロナウイルスに感染した妊婦さんでは早産になりやすい可能性と、赤ちゃんが新型コロナウイルスに感染する可能性が指摘されています。

ただし、必ずしも早産になっているわけではありませんし、赤ちゃんへの感染する頻度もまだはっきりしていません(世界中からの感染妊婦または新生児数十名の報告で、数名の「胎児感染の疑い」が報告されているのが現状です)。

様々な情報が出回っている中で、妊産婦における正確な情報をご自身で把握することは難しい状況と言えますので、ぜひ産婦人科オンラインジャーナルの新型コロナウイルス特集をご活用くださいね。

*参考文献
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 ~妊婦の方々へ~(厚生労働省)
新型コロナウイルス感染症について. 国民の皆さまへ(予防・相談)(厚生労働省)
新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)(厚生労働省)
Coronavirus. Overview.(WHO)


さらに詳しく聞いてみたい方はぜひ産婦人科オンラインの医師にご相談ください。

産婦人科オンラインはこれからも妊娠中・産後、そして女性の健康に関する不安や疑問を解決するために情報を発信していきます。

(産婦人科医 大村美穂