妊娠中にコロナウイルス感染を疑ったら? 〜受診方法とその後の流れ〜

最近、日本でも新型コロナウイルスの感染拡大が大きな問題となっています。厳重に感染予防をしていたとしても、完全に防ぐことは難しく、だれでも感染するリスクがある状況です。これは妊婦であっても同様です。
今回は、妊娠中にコロナウイルス感染を疑った場合の一般的な対応の流れを解説します。

妊娠中の新型コロナウィルス感染の影響は?
(症状・流早産などについて)

現時点までの報告によれば、妊娠中に新型コロナウイルスに感染したとしても、 症状の経過や重症度は妊娠していない方と変わらないと考えられています。
しかし、妊婦は一般的に肺炎が重症化するリスクが高いことはわかっています。今回の新型コロナウイルス感染症においても、妊娠中の方が肺炎にまで至り、全身状態の悪化や低酸素状態により、死産(子宮内胎児死亡)となってしまったという報告もあります。

新型コロナウイルスに関しては、妊娠中の胎児のウイルス感染を疑う症例が海外から数件報告されていますが、胎児異常(形態異常)や流産を起こしやすいという報告は今のところはっきりしていません。

新型コロナウイルスに感染するとどんな症状がでるの?

新型コロナウイルス感染は、症状がある場合と無症状の場合(不顕性感染)があります。

<症状がある場合>
初期症状としては、喉の痛みや発熱、倦怠感など一般の風邪のような症状が生じます。また人によっては、鼻づまり、鼻水、痰や血痰、下痢などが生じることもあります。
初期症状は5-7日間ほど続き、ほとんどが自然に治っていきますが、重症化すると肺炎を起こし、呼吸困難の状態に陥ってしまいます。

<無症状の場合>
無症状の場合もありますが、他の人へウイルスを感染させるリスクがあります。そのため、たとえ無症状であっても、コロナウイルス感染者の濃厚接触者(同居・長時間の接触・近距離での会話など)である場合は14日間(ウイルスの潜伏期間)自宅待機することが強く勧められています。これは、知らぬ間に感染している可能性がゼロでないためです。

感染が疑われた場合は「帰国者・接触者相談センター」に電話を

まず、妊婦の方で37.5℃以上の発熱や倦怠感が2日以上続く場合、帰国者・接触者相談センターに相談しましょう。必要に応じて、指示された医療機関を受診しましょう。
検査結果が陰性でも、感染の可能性がゼロと断定できないため、主治医と相談の上、妊婦健診を1-2週間遅らせることも考慮しなければいけないかもしれません。

感染が疑われている最中だとしても、不正出血や腹痛・破水感などある場合は受診が必要です。ただし、感染している可能性があると、かかりつけの病院をすぐに受診できないこともあります。
まずは、電話で主治医や帰国者・接触者相談センターに相談しましょう。

妊娠末期に感染した場合は指定医療機関で分娩することに

妊娠末期(分娩前)に新型コロナウイルスに感染した妊婦の方は、指定医療機関で分娩を行う必要があります。母子共にウイルス陰性の結果が出るまで、産まれたお子さんとのご対面、ご家族との面会や授乳を含めできません。

また、帰省分娩や分娩立会いに関してはこちらをご参照ください。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、妊娠中ならびに妊娠を希望される方へ 第9版ver.2(日本産婦人科感染症学会)

新型コロナウイルスへの対策として、手洗いうがいなどの基本的な感染予防や、社会的距離を保つことは重要ですが、しっかり睡眠・バランスの良い栄養をとって、抵抗力を落とさないような生活も心がけるようにしましょう。

*参考文献
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策 ~妊婦の方々へ~(厚生労働省)


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(産婦人科医 尾市 有里